GHOST TAIL

JuJu:怖い話と百物語

怖い話:441話〜480話

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Coming Soon
****年**月**日/投稿者:*****

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電話
2014年9月10日/投稿者:地獄少女

昨日の話です。 友達と電話していました

私はイヤホンマイクを付けベランダで話してました

するとふいにびりびりっていう妙な音が入り

友達から今なんかした?と聞かれ

私はいやなんもしてないよと言いました



すると電話が突然切れました

かけなおすと向こうにはその音は聞こえてないらしく

かわりに30代〜40代の男性の声が聞こえたらしいです

でもなんていってるかはわからなかったらしです



ベランダに居たので周りじゃない?と言ったら

いや普通に近くで自分達と同じぐらいの声の近さや大きさだったそうです。

私は霊感があるかないかぐらいなのですが

この家は時々男性をみかけます

ベランダの近くで。



その人だったのでしょうか

私は自分の部屋にいると時々声が耳元で聞こえ髪もひっぱられたことあります

そして視線。

誰かに見られてる気がしてなりません。

だからこれからなにか起こるのかと不安です。

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2013年10月6日/投稿者:ぶうたらこん

F県○○○市在住の中村さん(仮名)夫婦は

親友の有村さん(仮名)夫婦からのお誘いを

急用のためお断りしなければなりませんでした。



というのもその日は有村さん所有のワンボックスカーで

近くの温泉施設に4人で遊びに行く約束をしていたのです。



その当日の夜 中村さん夫婦が用事を済ませ帰宅途中

今から家で夕食の準備をするのも面倒だという事になりファミレスで食事をする事にしました。

入店し案内されたボックス席に着くと間もなく水を持ってやってきたウエイトレスが

なんとビックリする程有村さんの奥さんにそっくりなのです。

本当によく似た人もいるものだと二人は思いながらも

その時はそう気にもせず食事を済ませ帰宅しました。



帰宅後二人が就寝しようとした時有村さんのご主人から電話があり

今日二人で温泉に行った帰り事故にあいご主人は奇跡的に軽傷で済んだものの

奥さんは先ほど病院で亡くなったと言うのです。



(後から解ったのですが可愛そうに顔の右側半分が滅茶苦茶の状態だったそうです。)



その後お葬式の日程が決まり中村さん夫婦がお通夜に参列した時の事です。

お坊さんがお経を読んでいる時

室内に風など吹き付けるはずがないのにお線香の煙が遺影の右側半分にだけ立ち込めていたのです。

そして遺影の顔の表情がとても歪んで見えたそうです。

不思議なことはそれだけではありません。

お葬式当日 出棺の時真冬だというのに何処からともなく赤い蝶々が

飛んできて参列者の頭上を飛び回り 霊柩車が出発すると同時に

すっといなくなったと言います。



お葬式が終わり 中村さんの奥さんが花が好きだった事もあり生花を少し分けてもらい帰宅しました。

二人は少々疲れていた為早めに就寝する事にしました。

それから数時間後の事です(時計を見たら午前2時頃)

女の人がとても悲しそうにシクシク泣く声が聞こえてくると言うのです。

それは本当に悲しそうだったと言います。

何処から聞こえてくるのかとあたりを見渡すと

なんと頂いてきた生花から聞こえてくると言うのです。



新聞紙に包んだまま無造作に置いておいたかもしれないと思い

二人は丁寧にそれを花瓶に入れ水をやったら泣き声は聞こえなくなったそうです。

また以前に有村さんの奥さんの写真を撮ってあった事を思い出し

花瓶の前に飾って置こうとその写真を探し出すと

なんと写っている顔の右側半分がぼんやりとぼやけて

まるで別人のような表情だと言うのです。



その後は不思議な出来事は起きていないそうですが

その写真は今でも顔の右側半分がぼやけたままだそうです。

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肖像画の男
2013年8月17日/投稿者:A列車の男

私が高校生の頃の話です。

ある夏休みの夜、高校の友達のA君とK子、A君のお兄さん、

卒業生のS先輩、そして私の5人で、とある心霊スポットに行きました。

S先輩とA君のお兄さん(以下A兄)は大学が一緒で仲が良く、友達といった感じでした。

実はこの面子、以前から何度か一緒に心霊スポットに行っていたお馴染みのメンバー5人組であり、

毎回A兄が企画しては何処に行くのかを決め、車を運転して私たちを連れて行ってくれる……

といったパターンが常となっていました。

この日行くことになったのは、私のこの地元から見たら隣県にあたる、ある山奥の廃墟です。

下調べ済みというA兄が出掛け際に色々と教えてくれました。

明治時代、○○○○という名前のとある実業家が事業に失敗し、

自身が所有していた建物内で自殺。

遺体が建物内で発見されるも身寄りがなく、その建物自体を当人の納骨堂として残しはしたものの、

以後お参りに訪れる人もいないまま現在に至っているとのこと。

つまりその建物には、今でも当人の遺骨が……。



「マジで……?」



若干引き気味な一同を余所目に、自分の車への乗車を促すA兄。



皆しぶしぶながらもA兄の車に乗り込みましたが、何だかんだでしばらくしたら乗り気になってきて、

やがていつもどおり雰囲気を盛り上げるための怪談話を囁き合いながら目的地へ……。

途中夕食のためにファミレスに寄ったり、何となくコンビニに寄ったりで、

現地付近に到着したのは日付が変わった頃でした。



山道です。

車のライトで照らされたその山道の先は、

アスファルトの車道に両側から木の枝葉が覆い被さるように伸びていて、

それが闇の奥まで何十メートルも続いていました。

きっと何年も、下手したら何十年も車が通っていないのかもしれません。

私たちもその場に車を停め、そこからは徒歩で進みます。

枝葉を払いのけながら先導してくれるA君とS先輩と、A兄。

森を抜けるように進んでいるのに地面はアスファルトという

独特のシチュエーションに気味の悪い感覚を覚えながら歩き続けていると、

やがて今度は本当にアスファルトの車道が途切れ、本物の森に……。



曇った夜の闇の中、5つの懐中電灯で木々の合間を縫って進んで、進み続けて数十分かそれ以上。



ふいに、先導する3人が立ち止まります。

見えてきたようです。

私とK子も後ろから覗きこむようにして、前方にあるその姿を確認します。

奥深い森に佇む、巨大な灰色の影。

鉄筋コンクリートの、件のものと思われる建物です……。

「うわ、あるし……」

そう呟くA兄に対し、私が後ろから尋ねます。

「本当にここなんですか?」



A兄がポケットからプリントアウトした地図を取り出し、懐中電灯で照らしました。



「絶対ここだわ。友達が前に来たことあってさ、俺そいつから聞いて知ったんだよね。



それでそいつと一緒に地図で調べたわけだけど、そいつその時ココ!ココ!って言ってたし、間違いないよ」



他の3人も口ぐちに何かを言っています。



「これヤバいだろ」

「今までのなんて目じゃないな」

「ちょっとこれは、どうかな……」

その他にも、落書きが無いからマジの場所だ、とか、

もう今すでに何かを感じる、とか言っていたような気がします。

無意識なのか、妙なひそひそ声で……。

そんなやりとりを聞きながら、私はこの時点でちょっと今回のスポットに疑問を持っていました。

どうも色んな点に合点がいかないのです。

(この時は空気の読めない子になりたくなかったため言いませんでしたが……。)



まず、建物が鉄筋コンクリートである点。

確か日本で初めて鉄筋コンクリートの建物が建てられたのは、

かの有名な軍艦島で、それが大正時代に入ってからのこと。

しかし今回の噂では、実業家が生き、そして自殺したのは明治時代。

つまりこれはもっと後に建てられたはずの建物であり、

噂とは時代的に矛盾が生じているということになります。



そして建物に落書きがなく、近年誰かが訪れた気配が無い、という点。

そもそも先に通って来たアスファルトの車道も、枝葉だらけで本当に最近誰も通っていない様子でした。

A兄の言っているその『来たことがある友達』って、本当に来たことがあるのでしょうか?



何より人が来ない理由が『本当にヤバい場所』という解釈が絶対でないような気がします。

もっと簡単な考え方があると思うのです。

『そもそも心霊スポットでない』という大前提を覆すような解釈が。

『本当に何でもない場所』という解釈が。

だから誰も来ない……。



私から見て、これらのことから、言えること……。

つまり噂なんてのは大ウソで、ここはただの建物の廃墟。



「(な〜んだ)」



そんなことを考えていると、そそくさと私とK子を置いてどんどん進もうとする先導3人組。

なんとなく気乗りせずとも、K子に促されたのと、何だかんだで探索自体に興味があったのとで、

結局は私もそのまま潜入……。



実際入ってみて思ったことは、怪我とかそういった意味で危険な場所は確かに多いな、という感想です。

床なんて抜けてて当たり前で、階段も落ちてしまっています。

ガラスも割れ、至るところに何かの金属片がささくれ立ち、

割れたコンクリートの壁から鉄筋が突出しているところだってあります。



そしてアチラこちらに漂う気配……。



野生の動物です。

タヌキか、犬か何なのかは見えませんが、病気を持っている可能性だってあります。



「(やっぱり来ない方が良かったかなぁ〜……)」



荒らさないように、なるべく物を動かさないように探索することしばらく。

先導組が、建物の内側から外に出られる場所を見つけました。



「こっちは何だ?」



そんな声に導かれ、私とK子も彼らを追いかけてそちらへ行きます。

背の高い草木の生い茂る屋外へと足を踏み出すと、何処かへ続くような道の痕跡を見つけました。

奥にも何か、あるのでしょうか。

進みます。





木々のさらに向こう側。





見えてきたのは……、





お堂?





古くて四角い、木造のお堂です。

腐っていて、歪んでいて、今にも倒壊しそうな、本当に古いお堂。

何だろうこれ、という皆の囁きを聞きながら、私は直感していました。



あぁ、こっち、ってことか……。





やめない? という提案を私が出すより早く、

先導組は入口へと近づいており、扉をこじ開けて内部を覗き込んでいました。

続けて、「うおっ……」という彼らの声。

その声にドキッとしていると、A君が私とK子の方を振り返り、

ニヤニヤしながら手招きをしてきました。

よせばいいのになぁ……と思いつつ、好奇心が勝手に歩を進めてしまい、

結局そちらへと歩み寄ってしまう私とK子。

K子は少し手前で怯えて立ち往生してしまい、

私は単身、先導組と交代するようにして中を覗き込みました。

そして私は、ハッとするような光景を目にしたのです……。





肖像画です。





それも異常な数の。







額縁に入れられ、祭壇や壁にズラリと並べられたそれらはすべて、

同じ男が描かれているようでした。

40〜50代あたりの男で、服装からしてとても裕福そうな、紳士といった風貌。

そして「何を好き好んでこんなに描かせたのか」という疑問より前に、

その描かれている男の、ある『異様な部分』に、思わずゾクリとしました。



背格好は、普通です。

髪型も、普通です。

それぞれ違う画家が描いたのか、その描き方の特徴は違えど、

どの絵も凛々しい姿に、そしてとても丁寧に描かれています。



ただ、目が……、



目の高さが、左右で違うんです……。



黒目の位置が左右で違うとか、そんなレベルではありません。



『目』そのものです。

どの肖像画もひとつとして例外なく、すべて、右目だけが異様に下の方(頬のあたり)に描かれているのです。

固まってしまった私が、A君の「な?」という声に頷くと、

さっきまで怯えていたK子も含め、全員がお堂の中へと入って来ました。

入口から覗きこむようにしていた私も、それに流されるようにして中へと入ってしまいます。

K子は絵を見たのか、「嫌!」という声を上げて肖像画から目を逸らしてしまいました。

先導組は余裕といった表情で肖像画を懐中電灯で照らしながら、

「何でこんな風に描いたんだろうなぁ」というようなことを話し合っていました。



「本当にこういう顔の人だったんじゃないの?」



S先輩がそう言いながら額縁のひとつを手に取り、皆の方へと向けます。

それに対し、A兄が答えました。



「こんな顔の奴、本当にいんの? 嫌がらせとかじゃねぇのか?」

「嫌がらせで目ぇずらして描く画家なんていねーだろ」



そんなことをその2人が言い合っていると、S先輩の持つその額縁を、K子がふと懐中電灯で照らしました。

その瞬間、K子は額縁を照らしながら叫んだのです。

「それ絵じゃない! 写真!!」



ビクッとして反射的にそれを見ると、確かにそれは、

その男を写した古い『写真』だったのです。

言わずもがな、本当に目が……。

その目がこちらを見ている……。



S先輩は数多くある額縁の中から、

どうやら唯一であろう『写真』の額縁を偶然にも手にしてしまったのです。



驚いたS先輩は「ヤベェ!」というようなことを言いながら、

慌ててその額縁を元の場所へと戻しました。

私はその戻された写真をもう見ることが出来ませんでした。

何となく、出来ることならあまり見たくない……、そんな写真だったからです。

一方、皆はまだドキドキしているようで、お互いに「ビックリした」だとか

「絵だと思った」等と言い始め、少しザワザワした雰囲気がお堂の中を包んだ、その時です。







「おい」





その声に、全員が喋るのを止めます。

そして一瞬聞き耳を立ててから「今誰が言った?」

「俺じゃない」等と言い合っていると、間髪入れず、

しかもさっきより大きい(近い?)声で、







「おい」







……







その瞬間、全員がお堂から脱出しようと駆け出していました。

もう我先にと。

つまりパニックを起こしてしまったのです。

恥ずかしながら私も……。

しかしその時、背後から衝撃音とともに、S先輩の「うわ!」という声が聞こえました。

走り出そうとして、お堂の中で転んでしまったような感じでした。

それに気付いたのか、A兄がS先輩の名前を呼びながら慌てて振り返りました。

そして次の瞬間、今度はそのA兄が大声で叫んだのです。



「うわああああ!! お前! 顔!! 顔!!!」







何事かと思い、思わず私も振り返ると、信じられないような光景が待っていました。







「ぁ……ぁぁ……ぁぁぁっぁぁ…」







そう言いながら丁度起き上がろうとしているS先輩の顔が、

まるであの肖像画の男と同じような顔になっていたのです!

S先輩の右目の位置がおかしかったのです!



驚いて私が腰を抜かしていると、またA兄が続けて別のことを叫びました。

「バカ! お前何持って来てんだよ!!!」



その言葉にS先輩の手元を見ると、

なんとさっき置いたはずの写真をまたその手に抱えているんです!



「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」





右目の位置がおかしいS先輩が、右目の位置がおかしい男の写真を抱えて、こちらに走り出して来ているのです。

まるで自分の意識下にないような声を発しながら。



「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」



S先輩の声には聞こえません。



確かにS先輩の口から出ているけど、



さっきの「おい」の声にすごく似ています……。



「しっかりしろ、S!!!」



A兄の喝を入れるような声に我に返ったのか、

S先輩は初めて自分が写真を持っていることに気付いた様子で、

泣き声で喚きながら、転ぶようにして慌てて踵を返し、

再び写真を元の場所へと戻しに行きました。

その時にはもう、私にはS先輩の目は元に戻っているように見えました。

まるで見間違えだったかのように、元に……。



本当に見間違え……?

だってA兄にも見えていた……。



そんなことを考えながら彼らの様子を見ていると、A兄がこちらに向きなおり、

私やA君とK子に、「先に行ってろ! 早く!!」と捲し立てました。

その言葉に頷いて3人で駆け出し、通って来た鉄筋コンクリートの建物を抜け、

森をどんどん進み、元の古い車道まで戻ってきました。

その間が何秒だったのか何十分だったのか、途中で自分が転んだかどうかも覚えていません。

道中のことなどほとんど記憶になく、とにかくそれ以前の信じられない光景だけが脳裏に何度も浮かびます。



そして3人でただ「何だろ、あれ」「何だろ、あれ」といったようなことを

繰り返し繰り返し呟きながら、落ち着かず、

うろうろとアスファルトの上をずっと歩き回っていました。



しばらくすると、奥から、



「おーい、みんないるかー!」



と言いながら、A兄と、S先輩が泣きながらようやく戻ってきました。

そしてそのまま皆何も会話を交わさず、S先輩が落ち着いてから、

A兄がただ「帰ろう」とだけ気の沈んだ声で言い、帰途につくことになりました。

帰りの車中では特に何も起きませんでしたが、

別れ際にK子がS先輩に対して執拗に「気をつけてね」

「気をつけてね」と言っていたのを覚えています。



……S先輩が目の病気で入院した、と聞いたのは数日後のことです。



私がA君やK子と学校帰りに病院に寄ると、S先輩は右目に包帯をしながらも、

割と平気な様子でマンガを読んでいました。



失明しただとか、目玉が取れただとかを予想して心配していた私たちは少し呆気にとられましたが、

どうやら今はそんなに酷くはなく、実質短期入院であることと、

原因不明で充血が引かないだけで前よりはかなり良くなってきているということで、安心しました。



とはいっても充血は一時期本当に酷かったようで、右目だけが真っ赤に腫れ上がり、

目玉はゼリー状のぶよぶよに……、

瞼の上下も赤く腫れて皮膚が硬化・肥大化してしまっていたそうです。



私は以前アレルギー性の結膜炎を持っていたので、ちょっと掻いたり擦ったりしただけで

よく目が充血状態(流石にこれ程のものはないですが)になっていたのを覚えており、

その時もS先輩にそのような目の病気があったかどうか聞きました。

しかし、「無い、こんなことは生まれて初めて」とのこと。

曰く、汚い手で目を擦ったり、薬品等が目に入ったりした記憶も無いらしいです。



ただ結局のところその後の経過は至って順調であり、

手術も必要なく、やがて目薬治療だけで回復。

現在も交流はありますが、あれから特に目に関する病状は無いそう。

今も元気です。



しかしそのお見舞いに行ってから、さらに数日後のこと。



私は当時のメンバーには何も言わず、

単身、隣県の県庁所在地にある大きな図書館に赴いて、件の実業家とやらについて調べました。



というのも、どうしてもあの顔立ちが気になって……。



まあ実際に他とは違った身体をした人々は存在しているので、

そういった人々を一方的に怖がるのは如何なものかとも思ったので、

何かの病気だったのだろうか、と調べたわけですが……。



最初はどう調べても全然見つけられなかったんです。

見つからずイライラし……こうなったら何としてでも見つけてやるぞ、

と意気込んで、ほぼ1日かかって、ひたすら探しました。

そしたら、ようやく見つけたんです!

やっとの思いでした!

しかも、これがまた何故か英語の本……。



全部が全部までは目を通せませんでしたが、

辞書も引っ張り出してきて、なんとか一部分を翻訳してみると、やはり当人。



この県の名前や、当人の名前も書いてありました。

また、父親はもともとあの山一帯の大地主だったことや、

事業に失敗するまではこのあたりの経済の一躍を担っていたことなども。

建物で自殺してどうとかもしっかり書かれていたので間違いないと思います。



ですが……。



写真が、違うんです。



その本に載っていたのもまた古い古い写真ですが、

目が左右とも普通で……。

というよりそもそも、人物が違う……。

撮影された年齢とかの違いじゃなく、本当に人が違うんです。

でもその本によるとその人が、その実業家、なんです、よ……。



じゃあ、あのお堂にあった肖像画の男……、







あの写真の男……、







あれ、誰……?

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近所の公園にて
2013年6月6日/投稿者:HIRO

これは、俺が高校2年生の時に体験した話です。

俺は、彼女と彼女の友人と近所の公園に行きました。

(彼女をY、彼女の友達をSとします)

S「HIROさー、公園に来たのはいいけど何するの?」

俺「んー…」

Y「何もないんかーい」

俺「あはは」

S「つまんないの、何かないかなー」

Sはそう言って、公園に設置されているトイレへ歩いて行きました。

S「くさっ」

Y「汚いねー…誰もそうじしないのかなあ?」

俺「おーい」

S「ちょっと、ここ女子トイレ!」

俺「あー、ごめん」

S「まあ、いいけどー」

Y「HIROー、暇なんだけどー」

俺「じゃあ、ブランコ乗ろうぜ」

Y「はー?子供じゃないし、もう高2だよー?」

俺「まあ、いいからいいから」

俺とYは、Sを置いてブランコで遊んでいました。

あの時Sを置いてきたのが間違いでした。

S視点

S「写真撮ったら何か出てきたりしてー」

カシャ、カシャ

S「んー…何もいないじゃん、つまんないの」

S「あ、Yー!HIROー!」

ここからは、俺の視点に戻します。

俺「遅かったな」

Y「Sもブランコ乗ろうよー!」

S「乗る乗る」

Sと交換し俺は鉄棒で遊んでました。

S「あ、聞いてよー。さっきさー、暇だったから何かないかなーとか思ってトイレの写真撮ったわけ。

したらさーなんも映らないの。つまんないよねー」

Y「えー、何撮ってんのー、きったなーい(笑)」

その瞬間、寒気がしたんだ。

S「・・・!!!!」

いきなり、Sがブランコから飛びおりたのです。

Y「どうしたの?」

S「何か・・・いる・・・何か・・・くる・・・!」

俺「おい、行くぞ」

嫌な予感がして、俺はYの手を引いて公園から出ようとしました。

ですが、Sが動こうとしないのです。

俺「おい!S!」

S「あ…あ…こっち…く…」

俺は、走ってSの所へ行ってSを引っ張って公園から出ました。

Y「S…?大丈夫?」

S「…気配はなかったの…でも、足音が…枯葉を踏むような音が近づいてきて…」

俺「おい、さっきの写真消せ。」

S「・・・うん」

Yと俺は、Sのことが気になり家まで送り届けることに。

S「なんか、ごめんね」

Y、俺「いやいやいや」

S「・・・」

会話は続かず、そのままSの家に。

S「送ってくれてありがとう…気をつけて帰ってね」

Y「はーい、じゃあ また学校で」

S「うん、ばいばい」

Sを送ってから、Yと一緒に帰ってる途中、太ももらへんに痛みを感じました。

俺「いっ・・・」

Y「どうしたの?」

俺「何か…太もも痛い」

Y「え?」

帰宅してから、太ももを確認してみました。

俺「・・・・・・・・・?」

痣ができていたのです、何かに引っ掻かれたような。

それも、はっきりと…青痣みたいな感じに。

まさかとは思いました。

でも、痣なんてすぐに消えるだろうと思っていた俺はほおっておくことに。

でも、その痣は2〜3週間ほど消えませんでした。

で、Sにその話をしたら

S「ごめん、私のせいで本当にごめん」

この繰り返し・・・

起きてしまったことは仕方ないと、言い聞かせ、これ以上何も起きないようにと、

あの公園に行くのはやめることにしました。

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神社で
2013年6月6日/投稿者:野良猫

これは、僕が小学校4年生の時に体験した話です。

僕は、学校が終わって(放課後)友達と遊んでいました。

※以下友達はAとします。

僕「暇だなー、なんかない?」

A「んー・・・たまには、散歩いく?」

僕「おー、いいね。」

A「よし、じゃあ行こう!」

僕「おう!」

こんな会話しながら、僕らは散歩しようと外へ出ました。

僕「あっちーな」

A「夏だしねー」

僕「まあね(笑) 神社行こうぜ!」

A「OK」

くだらない会話をしながら、僕らは近くの神社まで来ました。

時間は、夕方の16時過ぎくらい。

気温も少し下がって心地よい感じでした。

僕らは、この時すぐ帰っていれば見てはいけないものを見なくて済んだはずなんです・・・

暗くなってきて、帰ろうとした時にAが急に立ち止まったのです。

僕「Aどした?」

A「・・・」

僕「おい、どうしたんだよ」

A「・・・なあ」

僕「ん?」

A「さっきさ・・・」

僕「うん」

A「猫見なかった・・・?」

僕「猫?」

A「うん・・・骨見えてて・・・皮膚がただれてて…」

僕「はあ?お前何言ってるの?」

A「見てない・・・?」

僕「んな猫いねーよ!いるわけがねえ!(笑)」

A「あはは・・・だよ・・・な、僕の見間違いだよな」

僕「おう、見間違いだよ」

A「帰るか!」

僕「帰ろう」

帰ろうとしたその時、いきなり耳鳴りがしたんです。

A「おい、何してんだよ?帰るぞ?」

僕「・・・」

A「おーい」

僕「A・・・前見るなよ?」

A「えっ?」

僕「いいから・・・!」

A「前向かなきゃ帰れねーだろ(笑)」

僕「他の道から帰ろう」

A「何で?どしたよ?」

僕「・・・良いから」

僕はAを引っ張って、普段は遠回りになってしまうからと言って使おうとしない道を使って帰りました。

帰宅後、Aに問われました。

A「なあ、さっきどうしたんだよ?」

僕「・・・信じられないかもしれないけど、話すよ。」

僕「Aさ、猫見たっていっただろ?そのあと、僕が馬鹿にしたじゃん?あれ、謝るよ・・・ごめん。」

A「お、おう」

僕「帰ろうって言った後、いきなり耳鳴りがしてさ・・・」

A「うん」

僕「で…Aに前見るなって言っただろ?」

A「うん」

僕「生首…」

A「え?」

僕「生首が浮いてたんだ・・・」

A「・・・」

僕「僕らに気づいてなかったらしく、こっち向いてなかったけど・・・向いてたら多分僕ら・・・」

A「・・・」

僕「・・・何かごめん」

A「いあいあ、もうあの神社行くのやめようぜ」

僕「うん、そうしよう」

そんなこんなで、その日は終わりました。

この経験をしてから、耳鳴りがたまにしたり、見えなくていいものが見えたり・・・

あの経験をしてから、Aと散歩しに行った神社には一度も行っていません。

また、あのようなことがあったらと考えたらゾッとするからです。

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だるまさんがころんだ
2013年3月6日/投稿者:地獄少女

これは友達が実際に体験した話です。

友達がお風呂にお風呂に入っているときに

「だるまさんがころんだ」と遊び半分で言ったそうです。

するとなんか後ろに誰かいるような気配がして

後ろを見ても誰もいないそうです。

そして、風呂からあがり寝る時に、仰向けになり

部屋の角を順番に見てそして最後に

前を見ると男の人が居たそうです。

びっくりして声をだそうとしたけど

金縛りにあったようになりでなかったそうです。

そしてそのまま必死に目を閉じて寝たそうです。

それからは、なにもないそうです。

この話を聞いて私は自業自得だと思いました。

なぜなら最近このだるまさんがころんだと言う話は

流行っていて知っていてその友達も、

面白半分でやったらしいです。

もうひとりは、だるまさんがころんだをして

精神的におかしくなってしまったらしいです。

だから皆さんもしないほうがいいと思います。

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僕のお母さん
2012年5月12日/投稿者:ほむたろ

※これは実話です。

お母さんは僕が小学校一年生の夏休み中に首を吊って死にました。

おじいちゃんの命日の一日前でした。

お母さんは鬱病でした。

死んだのは全部僕のせいだと思っています。

僕がテレビをみようとしたときお母さんにリモコンを取られて喧嘩になりました。

お母さんは怒って自分の部屋へ行きました。

お父さんが帰ってきて鋏をもってお母さんの部屋へ行きました。

何かなと思って部屋に行ってみました。





お母さんが首を吊っていました。





すぐに救急車で病院に運んだけれど、手遅れでした。





二年後の夏休み。

お父さんは仕事なので夏休みはおばあちゃんちに泊まっていました。

そんな夏休みのある夜。

私は夜中にふと目が覚めました。

横を向こうとしたら。





体が動かない。





目だけでドアの方を見るといつもは開いてないはずの扉が開いていた。

横にはおばあちゃんが寝ている。

おばあちゃんはいつもちゃんと扉を閉めて入ってくるはず。

開いた扉の向こうと見ると畳の部屋の襖の前に何かがいる。

白い服を着た髪の長い女の人がいる。

こっちへ歩いてくる。

その姿は、お母さんにそっくりだった。

怖くなっておばあちゃんを呼ぼうとしたが。





声が出ない。





すぐさま目を閉じて寝ようとした。

次に目を開けた時には朝だった。

おばあちゃんはもう起きている。

扉も閉まっている。

夢だったのかな?なんて思ったりもしたが。

あの生々しい感覚。

夢ではなかったと思う。

僕はお母さんが死んでからお母さんの出てくる夢なんて一度も見たことがなかった。

お母さんが死んでから七年経った今もまだお母さんの出てくる夢は見たことがない。

ちなみに今年の夏で八年になる。

最近はおばあちゃんちへ行くと僕は畳の部屋に一人で寝るようになった。

畳の部屋には死んだお母さんとおじいちゃんの写真がある。

その部屋は妙な違和感があって。

何かがいるような気がして。

上手く説明できないけど、

とにかくすごく重い空気。

僕霊感なんて全然ないはず。

お父さんがこの部屋で寝るときは何も感じないらしい。

お母さん僕の事恨んでるのかな。





もしかしたら、五年前見たお母さんの姿は、この部屋から出てきたものだったのかもしれない。

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ホラーサイトの恐怖
2012年3月28日/投稿者:takasann

いつものように暇だったのでホラーサイトを見ていました。

集中していたので時間を忘れていました。

時計を見ると深夜2:30でした。

サイトを閉じようかなと思ったら

急に背後に気配がしました。

自分の部屋だし誰もいるはずないのに.....

自分の正面においてある

鏡を恐る恐る見ました。

心臓がつぶれるかと思いました。

見たことない女の人が自分の斜め後ろにいるんです。

綺麗な顔立ちなのですが

どこか陰のあるとうな顔でした。

最初はゾッとしましたが、

不思議と恐怖心は、薄らいでいきました。

何かを伝えようとしたのか

それとも怖がらせたかったのかは

わかりません。

その女の人はいつの間にか消えていなくなりました。

もうお分かりですよね

そのサイトとは、

このサイトのことです。

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二つのお話
2012年2月9日/投稿者:ハルリン!

この話はお母さんから来た話です

一つはお母さんの父の話です

父は昔、タクシー運転手でした

深夜のある日・・・

橋を通っていた時、橋に・・・

血まみれの女が・・・

父は不気味でどうしよもなく通り過ぎました

見た時間帯は・・・

深夜

やっぱり幽霊ですよね・・・

橋で事故ったんでしょうか・・・

もう一つは母の話です

母が昔の時・・・

とある道(仮にこの道をA道路としています)に花があったんですね

母は普通に何気なく気にしていませんでした

早く気づけば良かったものの、こんな事になるとは・・・

そこからどれ位経ったかは分かりませんがその後・・・

母は右肘を怪我しました

その怪我は今になっても消えません

しかもそこで同じ所で怪我をしている人もいるのです

同じ所・・・?

何が関係あるのでしょう・・・

あの花は前回の犠牲者の供養の花なんでしょうか・・・

あと母は金縛りに会っています

(金縛りは脳が起きてて体が寝ている=半分起きている状態って

テレビでやっていましたから幽霊の仕業ではありませんかな?)

まあ、うろ覚えですので多少間違っていますが後悔しないでください

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K店怪談
2011年12月3日/投稿者:A列車の男

働いているK店で以前あった話です。

K店は普通の飲食店で、K繁華街という街にあり、中でも特に大きな交差点の角に位置しています。

行き交う人々がお店のウィンドウ越しに中を覗いては「ここにしよう」といった感じで

入って来てくれるのが嬉しい、そんな明るい職場です。

私は今でこそ正社員の店員ですが当時はまだアルバイトであり、

多くの先輩にたくさん教えてもらって、そしてたくさん怒られていました。

特にお世話になったのは、年齢は近いけど大先輩のYさんと、

そしてM子さんという先輩でした。

Yさんはいかにも真面目な人でしたが、



一方、M子さんは逆に飄々とした性格で、髪も色を抜いて金髪にしており、

化粧も濃く、いわゆる「ギャル」といった感じの人でした。

勝手にレジカウンターの内側に自分のプリクラなんて貼っちゃったりする人で、

キャラも明るく、皆をいじり回してゲラゲラ笑うタイプだったのを覚えています。



でも私はそんなM子さんが好きで、憧れており、尊敬もしていました。

プリクラを勝手に貼っちゃったのはともかくとして、

仕事に関しては真面目であり、私に色々なことを教えてくれました。

本当はとても優しい人だったのです。





そんなM子さんの様子が次第に変わり始めたのは、梅雨入りより少し前の季節で、

店内の改装工事の予定日が近付いて来ていた頃でした。

普段の彼女だったらあまりないのですが、やたらとプライベートの話をふりまくようになってきたのです。

昨日は何処何処へ行った。夕ご飯に何何を食べた。

らしくないな、と思っていたのは私だけではないようで、

そのうちM子さんがいないところで皆がよく彼女の噂話をするようになりました。

陰口とまではいかなくても、最近様子が変な感じがするといった程度の噂話……。

休憩中に電話で何事か揉めていたかと思うと突然泣き出したり、

頭を抱えて何も言わなくなったりといったこともあったそうです。



ある昼間には私自身が衝撃的な事態にも遭遇しました。

その日、いつもどおり奥で休憩に入っていたM子さんが、

電話で喧嘩をしながらお店の方まで出てきました。

ちょうど店長がいて、「おい」と注意した瞬間、突然泣き出したかと思うと

持っていた携帯電話をそのままへし折って床に叩きつけ、そのまま喚き散らしながら

扉をガランガランと開けて外へと飛び出して行ってしまったのです。



あまりの出来事に呆然としながらも、

店内で同じく呆然とするお客さんたちに謝ろうと頭を下げた瞬間、

今度は外から猛烈なクラクションの嵐が響いてきました。

お客さんの一人が「店員さん!あれ!」といって

ウィンドウ越しに外を指さしたのを合図に、店長が外へと駆け出しました。

私はレジに立ったまま、扉にはめ込まれたガラス窓越しに、

信じられない光景を目の当たりにしました。







外ではM子さんが当然のように大通りの赤信号を渡っていて、

そのまま交差点側まではみ出して行ったかと思うと、

車がビュンビュン行き交う中をぐるぐると歩き回り始めたのです。

何台かの車は止まっているのですが、なんとか避けて普通に走り去って行く車もたくさんありました。

異様な光景です。





我がK店の制服を着ただけの一見普通のギャルが、

この片側5車線の道路の交差点ド真ん中を平然と徘徊しているのです。

人通りも多いせいかあっという間に野次馬も集まって来てしまっています。

店長が何とかその交差点の中に潜り込んで、

止まってくれた車たちに申し訳なさそうに頭を下げながら、

ようやくM子さんを歩道まで連れ戻して来てくれました。

そして店内に帰って来たかと思うとそのまま奥まで直行。

戻って来ず、1時間もした頃に店長が呼んだのかM子さんの母が来て、

泣きじゃくるM子さんを奥から引き連れて帰って行きました。

その一連の出来事が、とても長くも一瞬のことだったかのように感じらました……。





それからというもの、M子さんは出勤は一応して来るものの、

抜け殻のようになってしまい、誰とも話さないようになってしまいました。

私もM子さんを心配というよりは、どちらかというとあの豹変した姿を思い出しては

心底残念な気持ちになるばかりでした。





梅雨入りが始まった頃。

雨の日が多くなり、食事時でない時間にはお客さんが全然いないような日が重なり始め、

そんな寂しい店内でのM子さんの様子は、正直見ていられないものがありました。

やがて気まずさに彼女を一人レジに残して

店内の清掃を始めたり先に休憩したりというようなことばかりしていたある日、

休憩から戻ると、レジでM子さんが、





「い゛っ…い゛ぃ……い゛ぃっ……!」





というような声を苦しそうに発しながら、

何故かエプロンの裾を両手でまくり上げるように巻き取って、

それをモゾモゾと動かしていました。

大丈夫ですか。と声をかけようとすると下唇を噛みながら





「……帰る」





と言い、何か取りに行ったかと思うと鞄を脇に抱えて来て、

制服のまま帰ってしまいました。


出ていくまでエプロンはずっと両手に巻き取ったままでした。


両替から戻って来た店長に事情を話すと呆れたように「放っとけ」と言われてしまい、

レジを離れて追うわけにもいかず、私は何もすることが出来ませんでした。





その後、M子さんは完全に無断欠勤ばかりになってしまい、

一度も姿を現さないようになってしまいました。

店長は「クビだな」と言って

名簿にあるM子さんの名前をボールペンでかき消していました。

「(来週から店内の改装工事が始まるからしばらく休暇だし、時間でも作って会えないかなぁ)」

そんなふうに考える日々が続いて、

ようやく明日から改装工事開始!という日のことです。

















M子さんが自殺していたことが判明しました。

















一人暮らしの自分の部屋で、首を吊っていたそうです

(私は件の交差点徘徊事件で彼女の母が迎えに来ていたので、
てっきり実家暮らしかと思っていたらどうやら違ったようです)。

店長からその報告を受けたとき、私も、皆も、何故か涙が出ませんでした。

涙など出ないほど、悲しくて、ショックでした。

こうして、店内改装による我々店員一同の長期休暇が幕を開けました。

ただその間も仕事仲間とは食事などで会っており、

その中で、M子さんに関する色々な噂を耳にしました。

「男に捨てられたらしいよ」

「ホストに貢いでて借金があったんだって」

私はその会話の輪には、一度も入れずにいました。

それらの真相などどうでもよく、

ただ、M子さんの死が悔やまれてならなかったのです。





改装明け。

しかし心機一転という気分でもなく……、

そして新しくなった店内にさほど感動することもなく……、

当たり前のようにまたK店での勤務が始まりました。

そんな折、店内でゾッとするものを見つけました。

レジカウンターに入ったYさんが、

カウンターの内側を指さしながら言ったのです。





「改装したのに何でまだ貼ってあるんだ?」





M子さんのプリクラでした。

カラフルな模様や文字に囲まれた小さな場所から、

M子さんが満面の笑みでこちらを見つめています。


「うっわぁ……」

「誰か剥がせよ……」

「いやよ」


誰も剥がしたがりません。

剥がしたがらないまま、皆逃げるようにして何処かに行ってしまい、

レジには私とYさんだけが残されました。

「どうしようか…」と言いながら半ば私に押し付けたそうなYさんの目に、

「私が剥がしておきますよ」

と言うと、Yさんは「たのむ」といったようなモーションをしながら

レジから離れて行き、最後に、


「俺、それいらないから」


と手を振りながら厨房の中へと消えていきました。

はぁ、わかりました。

とだけ一応言ってプリクラを剥がし、私も業務へと戻ります。

そうこうしている間に早速お客さんも入ってきて、

改装から早々、K店は再び以前のような盛況を取り戻し始めました。





しかし改装後、

店内で奇怪なことが度々起こるようになってしまったのです。





ガランガランという扉の開く音に反応して

扉のほうを見ると、誰もいない……。





いやそもそも扉なんて開いた気配すらない。

などといったことはザラで、

その他にも皆が皆、いろんな体験をするようになりました。





私が不気味だと思ったのは……、

雨の日、閉店後の店内でモップがけをしていると、

何度拭いて綺麗にしてもいつの間にか雨に濡れた足跡が付いている、という出来事でした。

もちろん自分の足跡だったなんてオチはなく、

一度しっかり全体的にかけ終わってから、

帰り際に見るとまた足跡がたくさん付いているだなんてこともありました。

そして改装後異様に多くなったレジ誤差(これはちょっと因果関係が曖昧です。偶然??)。

こういう業務に支障を来すような現象が個人的に一番嫌でした。





しかし他の皆が特に例に挙げる体験には、まったくもってそのまま、

「店内でM子さんを見た」というものもあり、

曰く、夜のウィンドウに反射した店内に、M子さんの後ろ姿が映っていることが稀にあるのだそうな。





一方、Yさんら厨房の人たちの体験も不気味で、

一日の終わりに清掃していると、

厨房の床の排水溝にいつの間にか金色の髪が溜まっているというのがあるのだそう。

そして店長が一番困っていたのが、

梅雨明けに向かっているのに、徐々にお客さんが減っていってること。

改装後すぐは盛況だったのに、

店員の体験する怪異が重なるにつれ客足も遠のいていってるのは、

皆もわかり始めてることだったのです。

新人のバイトの子が初日早々、

店内に入る前に、入口で「ここ、やだ」と言ってそのまま帰ってしまい、

出勤ゼロのまま辞めてしまったこともありました。





どうにかせねば、と皆で策を練るも何も手出し出来ず、

数日経ったある晴れた日のこと。

お昼ご飯時でそこそこ賑わう店内で、

レジにてお客さんの精算処理を行なった直後、

そのお客さんが開けて出て行った扉の向こうに、何かが見えた気がしました。

なんだろう、と、扉が閉じた後もそのガラス窓から外を伺いました。





そこにあるのは、休日の昼の繁華街の風景。

晴天のもと人通りも車通りもかなり多く、

夏のような天気でほのかに陽炎のようなものが揺れるその向こう側。

誰かが立っているのが見えた気がしました。

目を凝らします。





若い女性……

それも、どこにでもいそうなギャルのようなシルエット……。

そしてK店の制服・金色の髪・白々とした厚化粧……。











「M子さんだ」











そう思った瞬間、それはこちらに向かって歩き出しました。

見間違いでも人違いでもありません。

こんなに大きな交差点の向こう岸にいるのに……、

間にこれだけ車や雑踏が立ち篭めているのに……、

嫌にはっきりとそれが見えるのです。

それは、やがて当然のように赤信号を渡り始め、

車がビュンビュン行き交う中を悠々と歩いて、少しずつ、少しずつ、K店のほうに近付いて来ました。

車はひとつとして止まっていません。

交差点のド真ん中を突っ切るその存在に、誰一人として気付いていないのです。





私だけが、気付いている。





そして相手も、私に気付いている。





厚く白く化粧された顔に日の光が照り返しているような感じで、表情が全く見えません。

まるでのっぺらぼうです。

でも、目が合っているかはわかります。 ずっと私を見据えて、着実に向かって来ています。

あぁ、もう交差点の半分まで来ている……。





止まらない。

歩みに迷いがない。

これって、とてもヤバイことなのではと今更ながら気付きます。

心が焦り出した瞬間、間を大きなトラックがすり抜けて行き、

その銀色の車体が過ぎ去った後、

そこには先程までこちらに歩み寄って来ていた金髪ギャルの姿はありませんでした。





錯覚……?





だと思いたい。

嫌な汗をかきながらそう考えました。

ずっといなくなった人のことばかり考えているから、こんな錯覚でも見たんだ。





……外を見ても、いつもと何も変わらないただの昼日中の繁華街でした。











何日か経ち……、

数人の仕事仲間が、嫌気が差したとかで辞めていってしまいました。

このままK店も終わりか……!?

と思われた矢先、怪異の終わりを告げる最後の出来事が起こりました。





世間が夏休みに入って多少は以前のように忙しくなってきた頃、

レジで「−1万円」という大きなレジ誤差が発生しました。

誰も両替に行ってないし、だからといってつり銭ミスのレベルでもありません。

店長が不在だったので「店長に電話したほうがいいですか?」

と厨房の人たちに問うと、「ちゃんとドロワの奥は見た?」とYさんに言われました。

「あ、そっか」

と思ってドロワを開けて、引き出しをガコっと外し、中を覗いてみると……。

「ありました!!」

「やるんだよねぇ〜。万札を後で仕舞おうと一旦適当に入れて

、忘れてそのまま閉めて挟まっちゃうパターン」

厨房の中から「お前じゃないの?」とからかい口調で言われ、

苦笑しながら「違います〜!」と言ってドロワをまたはめ込もうとした時、

奥に何かがあるのが見えました。





小銭ではありません。

でも小さいもの。

小さい何か。

「なんだろう? 何かあるんですけど……」

と言うと、一緒に一万円札を探していた子が

「どれどれ〜?」と軽い感じで言いながら、

引き出しの無いドロワの空洞の中に手を突っ込み、ささっとそれを摘んで取り出しました。











生爪……。











取った本人も一瞬理解できず、

一呼吸ほど遅れてそれが何であるかに気づき、声をあげながらそれを床に打ち捨てました。

私が気付いたのはもっと遅くて、床に捨てられたそれに顔を近付けて見てからでした。

肉っぽいぶよぶよした塊と乾いた血がこびりついています。











フラッシュバックするように、最後にM子さんを見たあの日のことを思い出しました。











レジで苦しそうに呻きながら、エプロンを両手で巻き取ってモゾモゾしていたあの姿。

今思い出すと、泣いていたような気もします。











「あの時だ」











エプロンで手を隠していたんだ……!

そう思った瞬間、思わず吐きそうになりました……。





結局、騒ぎを聞きつけて厨房から出て来てくれたYさんが店長を呼ぶことに……。

店長が来るまでにYさんが割り箸で爪を拾い上げてティッシュに包み、

小一時間程して到着した店長に事情を説明して、ティッシュごと渡していました。

店長は心底嫌そうな顔でティッシュをつまみ取り、すぐにまた去って行きました。





後日、伝聞で店長が爪を供養してもらいに行ったらしいと聞きました。

しかし実際に店長に聞いたわけでもないので、

本当にそこまでしたかはわかりませんし、今更聞けません。

実は普通に捨てただけかもしれないですが……。





しかしそれ以降、不思議といつの間にか怪異は収まっており、

店内は以前のように平和な雰囲気を取り戻し始めたのでした。

そしてその後、何週間もかけてですが客足も戻り始め、

今では以前よりも評判の店となりました。





「結局、あれが原因だったわけ?」





Yさんの言葉には何も答えられません。

私が答えを知っているわけがないですから。





でももしかしたら、『念』を残して厄介事を起こさせるために

自分の一部を置いてくる、という呪いでもあるのかもしれません。

「でもこういうのが幽霊とかより気持ち悪いよね」

「何がですか?」

「よく知ってるはずの人間が意味わからないことするのって、気持ち悪いよ」





意味のわからないこと……。

爪のことか……。





でもそれなら、私のやってることも気持ち悪いでしょうか。

剥がしたプリクラ、あれからずっと私が持っているのですけど。

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床の音
2011年11月23日/投稿者:翼

これは今年の夏休み中の出来事。

ちょうど、お盆が終わって約一週間くらい経った、8月の24日の午後7時頃でした。

宿題をやる気が全く起きなかった私は、

いつものように愛用しているノートPCでYout〇beで動画を見ていました。

すると、何処からか「ドンッ」と床を思いっきり踏みしめている感じの音がしたんですよ。

初めは気にせずに動画を見ていましたが・・・

全く収まる気配が無かったので、仕方なくヘッドホンを外し、音を聞こうとしました。

けれでも、その時には止んでしまったらしく、何処からも音が聞こえてきませんでした。
『なんだ。気の所為か』

そう思って、ヘッドホンを着けようとした時でした。

ドンッ ドンッ ドンッ
と、ちょうど自分の斜め上くらいの位置の天上から、

誰かが床を踏みしめている様な音がしたんですね。

その時は妹だと思って、ふとリビングを見てみたところ・・・

妹は体育座りをしながらテレビを見てました。

じゃあ母かとも思いましたが・・・母は妹の近くの床で爆睡。

という事は、二階には誰もいないという事になります。

私は「ねぇ、今誰か歩く音がしなかった?」と二人に聞いたところ、

「んなの聞こえてねぇーよ!」と、妹に言われました。

「きっと外の音じゃない?」と母に言われ、納得した私。

そういうやり取りをした後、母はトイレに行きました

私はというと、PCを放置して妹と一緒にテレビ観賞してました。

それからすぐして

ドン ドン ドン

と、今度はテレビの真上の位置から、人が歩く様な音がしました。

「ね、姉ちゃん・・・今、なんか聞こえたよね?」

と、今回は妹にも聞こえたらしく、ビックリした様な顔で私に尋ねてきました。

しばらくすると、母がトイレからご帰還。

妹がすぐに母にさっきの出来事を話しましたが・・・

「んなの、どうせ外の音でしょ!」

と言って、全く相手にしてもらえませんでした。

それから数時間が経ち、日付は8月25日、時間は夜中の2時くらいだったでしょうか?

夕食後からずっとPCをいじり続けていた私は、

休憩をしようと立ち上がったところ、自分の真上の天上から「ドン」とまた歩く様な音がしたんですね。

だからてっきり、妹が寝ボケて起きたのかなと思っていました。

ところが・・・

その音、どうもおかしいんですね。

おかしいというのは、自分の真上と言えば妹と共同の子供部屋がある位置で、

更に付け加えると・・・その辺りにはベッドがあるはずなんですよ。

どうも人が歩いているような音で・・・

でも、ベッドがあるから歩けないし・・・と考えていると、その音が移動したんですよね。

まぁ、妹が起きたと無理矢理思えばよかったんですけど・・・

音を聞いていて気づいてしまった事。

それは・・・その音の移動の仕方が普通じゃないという事。

何故気づいたかというと・・・その音は、あちこちに移動してたんですよ。

あちこちに移動しているというのは、さっきまでは子供部屋の方から聞こえたものが、

隣の両親の部屋へと移動して、歩き続けてるっていう感じ。

子供部屋と隣の両親の部屋をつなぐのは狭い廊下。

そこを通ったならば、一階にも聞こえてくるはず。

でも今は・・・明らかに通った音がしませんでした。

「音がしなかったという事は、両親ではないか?」

そう思う方をいるかもしれません。

けれども・・・母は床の上でケータイを握ったまま、父は自分のPCの前で爆睡。

つまり、二階にいるのは妹だけとなります。

でも、階段に近づいてみたところ、妹が起きた様な気配は全く無く、

それどころか、なんかヤバそうな感じの気配が漂ってきました。

「これは・・・ちょっとヤバいかな・・・・・・」

と思いつつも、二階に上がろうとした時でした。

ドンッ

と、今度は思いっきり床を踏んだ様な音が、自分から少し離れた天井から聞こえてきました。

それがきっかけになのかは定かではありませんが、二階のあちこちから





「ドンドンドンドンドンドンドン・・・」





と、鮎気続ける様な音が約20分くらいずっと鳴り響きました。



さすがに怖かったですね。これは。

この音がやり止んでから5分くらいして、母が起きたんですね。

「・・・アンタ、何で泣いてんの?」と聞かれ、先程の事を話しました。

が、返された返事は予想通りのものでした(苦笑)

それからすると、妹が飲み物を飲みに一階へ下りて来ました。

起きたばかりでボーッ・・・としていた妹に

「アンタ、寝てる途中で起きた?」と聞いてみたところ、「起きてない」と言われました。

結局、アレがなんだったのか、今だに分かりません。

ただ・・・もしかすると、自分の憶測にすぎないのですが、

去年の5月に亡くなった祖父が、私達に会いに来たのかな?と思いました。

そう思うと、何故あの時、二階に行かなかったのか・・・とちょっと後悔しているところはあります。

が・・・もし祖父ではない、別の何かだったら・・・

そう思うと、行かなくて正解だったのかな、とちょっと矛盾した感じがしています。

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コピー機
2011年8月18日/投稿者:バロン

2011年8月18日pm12:32 くもり

この日は湿度がとても高い日でした。

いつものようにPCをいじっていると

コピー機がいきなりい作動し始めたんです。

怖いなぁと思いながらも、まぁ偶然だろうと流していました。

ですがそれが、悪夢を始めた原因でした。

10分程経ったでしょうか。

コピー機の事など忘れていました。

するとまたいきなりコピー機が作動し始め、なにか印刷しています。

紙は1枚だけ出てきました。

なにもコピーしていないのに、勝手に印刷されてきたんです。

印刷されていたのは、





カラスの死体






血まみれのカラスの死体でした。

私は驚いて紙を落としてしまいました。

冷静になり、もう一度見てみました。

やはりそれは紛れもない、カラスの死体でした。




2011年8月19日pm12:40 雨

今日はどしゃぶりです。またいつものように、PCを触っている私。

また昨日のようにコピーが作動し、印刷されたらどうしよう・・・・・・。

そんな不安を抱えながらも、動画に夢中になっていた私はそんな事など忘れていました。

ふと気づくと、私は寝ていました。

うっかりパソ寝をしていたようです。

重い瞼をこすりながら、ふとコピー機の目をやる・・・・・・

いきなり電話がかかってきました。

父からでした。






母が、死んだと。

血まみれになって、電柱に、引っかかっていたそうです。






私は不意に、『あの』カラスを思い出しました。

まさか、と・・・・・・。

カラスにはなにも関係ないじゃないかと、自分で自分をなだめていました。

すると父がいきなり、






「そういえば、母さんの死体の近くに大量のカラスの死体があったそうだ。」

私は凍りついたように、固まりました。



カラスの・・・死体?そして、血まみれ・・・?

偶然? たまたま?必然?



電話を切り、コピー機から出ている紙を手にした私は、思わず目を疑いました。

なぜなら、そこに印刷されていたのは







私の血まみれの姿だったから。

確信しました。

次は、私だと。





そして私は・・・・・・







外でカラスが・・・




ナイテイルネ。

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トイレから
2011年7月1日/投稿者:凛

これは私の姉が実際に体験したお話です…

勤めいている学校には幽霊が出ると教頭が言っていました居る所教えようか?

なんてお茶目に言われたみたいですけど…

その日は姉の勤めている小学校のプール掃除がありました

しかし途中雷、雨にみまわれ危険と判断しプール掃除は中断になりました

給食の時間のことです職員室で何人かの先生と昼食をとっていると

“プール掃除のとき白い服を着た女性の人をみた”という話が始まったのです

ホラー系がダメな姉は急いで昼食を食べ終り事務室へ荷物を置いてトイレに行った時その出来事は起こりました

トイレにいるのは姉だけ用をたしている間人が入ってきた気配は全くありませんでした

しかし隣のトイレから

カラカラカカラカラ…

トイレットペーパーをとる音がしだしたのです

恐怖と好奇心にかられた姉はチャイムが鳴るまでトイレの近くでまってみました

チャイムが校内に鳴り響いてもトイレからは人が出てくる気配などありませんでした

あの時トイレに居たのはなんだったのでしょうか…

もしかしたらまだそこのトイレにいるかもしれません…

あまり怖くなくて申し訳ありません

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昼行灯
2010年10月10日/投稿者:Q

あまり怖くないかもしれませんが、すいません。

ヒトダマが真昼に飛んでいるなんてことがあるのでしょうか?

実際、それを見たことがあります。

私は、心の中で、それを「昼行灯」と密かに呼んでいます。

これが飛んでいたのは、よく晴れた日でした。

きれいな青空なのに、エクトプラズムのような、ヘンな形の雲が、ひとつだけ漂っていて、

それが広がったり縮まったりして、妙な運動を繰り返していました。

何だ?あの雲は?と思っていると、その下に、妙な輝くものを見つけました。

住宅街の上を、光る玉が、ふらふらと漂うように飛んでいるのです。

初めは、何かの自然現象かと思いましたが・・・あるいはUFOかな?と・・・

あまりに奇妙なので、それをしばらく追いかけていると、

それがあるお寺の上に止まり、スーっと吸い込まれるように消えていったのです。

そのお寺には、お墓がありました。

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M県M町の廃ホテル
2010年7月12日/投稿者:薔薇の女神

これまで小学生の頃から「それ」を何度か見たことがありました。

最近となってはあまり無くなりましたが・・・・。

その中で体験したお話です。

あれはちょうど今から9年前の夏頃なのか季節は覚えていませんが

当時の仲間やその仲間の友達で肝試しに行くことになりました。

<現在は、縁も切れもう何年も会っていません。>

友達の先輩の車数台で向かいました。私は、仲間の先輩の男の人と一緒の車に乗っていました。

地元では有名な心霊スポット

(ある心霊サイトでも検証されており、ほかにきた方たちも多数目撃情報あり。)である、

廃ホテルに到着。

早速皆で廃ホテルに入り、現場を確認しました。

玄関は開いており、ロビーは広く、左にはどうやら宴会場があり、真ん中の奥にはトイレがあります。

ほかにいろんな方が肝試しに来たのでしょうね。

落書きが見受けられます。かなり閑散とし、建物は所々腐敗し、物が散ばっていました。

すると、後ろでかなり大きな音が館内に響きました。

「ガシャーーーーーーン!!!!!!!!!」

仲間の誰かが玄関のガラスをビビらせるために技と壊したらしい。

皆吃驚して振り返る。

そこで誰かが、何か言ってたがよく覚えておらず・・・・・。

飽きれつつ、2階に上ろうと皆で向かったが、

夜なので、辺りは闇に包まれており、どうやって2階に上がればいいのか皆戸惑って引き返しました。

玄関を出て、車に乗り町から出ようと車を走らせてました。

いきなり隣の運転手の携帯が鳴り、

私の友達のMちゃんが玄関先で携帯を落としてきたらしいと

またその廃ホテルに戻りました。

廃ホテル前に車を止めて、 Mちゃんとその男友達が中に入っていきました。

戻ってくるのを待っていた所でふと車の窓からホテルを見ると・・・・・

ホテルの右側3階辺りでボーーっと白い人の形が蠢いており、

どうやらこちらをじっと見つめてる感じであるように見えました。

その人の形をした「それ」を隣にいた友達の先輩にも見えたみたいです。

2人が同時に見えるのは稀な事です。

携帯を見つけたようで、Mちゃんと男友達は玄関から出てきて 普通に乗り込んでいきました。

そのときにはもういなくなっていた・・・・。

その後、車を走らせながら2人で「いたね」と話しておりました。

きっと仲間の誰かがガラスを割った音で怒ったのか、

皆が来て、眠りを妨げられおきたのか・・・・・。

あの時以来から、心霊スポットへは行っていません。

理由は、よくみんなが言ってる「遊び半分で行くのはやめたほうがいい」とのことです。

後から聞いた話では、あのホテルでは自殺した人がいたと聞かされましたが・・・・

真相は解かっていません。

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恐怖症
2010年3月10日/投稿者:A列車の男

十年以上前から近年にかけての話です。

ある友人(女の子)の恐怖症の話……。


最初にその友人から恐怖症の話を聞いたのは、中学生の頃でした。

青空の下、2人で学校から帰宅していた時です。

友人が、今まで見たこともないような表情で空を眺めながら、妙なことを口走りました。

「へりって怖いよね」

……突然当たり前のようにそんなことを言われ、私はしばらく考えてしまいました。

へり?

建物とかの縁(へり)?

いや、発音からして、ヘリコプター?

「……ヘリって、あの空を飛んでるヘリコプターのこと?」

「そう、だけど」

ヘリコプターが怖い? 何故?

それ以前に、どうして今いきなり?

そんなことを言う人は今まで会ったことないし、見たこともない。

具体的にどう怖いのかもわからない。

ただ友人の突飛な発言を貶すようなことをしたくなかった私は、

なるべく友人の会話に合わせようと、少し思考を巡らせてみました。

ヘリで怖いところと言えば、高さ……。

実際に搭乗すれば高所恐怖症の人にとっては地獄だとは思います。

そう思って訪ねてみると、「乗ったこと? あるわけないよ」との返答。

高いから怖いわけじゃない?

では音でしょうか。確かに飛行機やヘリの音が苦手という人は多そうです。

そう思ってまた聞いてみます。

今度は「違う、音自体はそんなに」。

……あと考えられるのは、プロペラ恐怖症?

スクリューやプロペラ等を見ると、巻き込まれる想像をしてしまい恐怖を覚えるとか。

そんなことを考えながら自分が巻き込まれるところを思い浮かべてしまい、

一人で勝手に気持ち悪い気分になっていると、友人の方から言われました。


「そういうのじゃなくって、ヘリが私の事を、狙ってる――――」

「……」

「――――……ような気がする」

……なんとなく、言いたいことはわかりました。

ただひとつ、「過剰に意識しすぎている」と思ったのです。

もし銃や剣を向けられたなら、誰だって確かに怖いでしょう。

それこそそれは実際にこちらを狙っているのだから。

でも、ヘリは狙ってなどいない……。

日常で空に見かけるヘリがこちらを狙っているとは私には到底思えませんし、

例えば乗っている人が銃でこちらをスナイプとかなら、

想像しても映画のワンシーンのようでまるで現実感がありません。

それどころか、「狙われてる私カッコイイ!」ぐらいの妄想すらするかも知れません。

私はその時、友人がアクション映画の女主人公のように

ヘリからの銃撃を必死に避ける姿を想像し、なんだか可笑しな気分になっていました。

「はいはい」

私は友人を宥めるような口調でそう言い、

そのまま無理やり次の話題へと切り替えました。

しかしその一方で私の心は、同時に彼女を心配する気持ちを抱き始めていたのです。

それは主に、精神面について……。

言い方は少しあれですが、つまり『おかしくなってしまわないか、どうか』が……。

だってヘリが怖いだなんて、普通じゃない。

この段階でそんなことを思い始めるは早いかとは思いますが、

別件での前例を私は知っていたので……。

とは言っても結局、その心配も中学を卒業する頃にはいつしか消え去っていました。

それからも友人は、別段至って普通だったからです。

次に友人がこの話を私に振って来たのは高校の頃、

久しぶりに会って、一緒に街へ遊びに出掛けた時でした。

「……そっちの方、行きたくない」

直前まで明るく話していた友人が、そう言いながら唐突に表情を曇らせたのです。

恐怖症の話などとっくに忘れていた私は一瞬わからず、反射的に聞き返しました。

「どうしたの?」

「ヘリが飛んでる……」

震えるその言葉に、ようやく久しぶりに彼女の恐怖症の話を思い出しました。

思い出すと同時に、少し気が沈む……。

確かに中学の頃にそう言っていたけれど、

実際にはこんな極端な恐怖反応を示すなんて

……。

自分が抱いていた心配が形になり始めたのでは、と、

そう考えると思わず溜息が零れました。

見ると遠くビルの上、プロペラの音を鳴らしながらヘリが飛んでいます。


……ババババババババババババババババ…………


何となく、その音に耳を澄ましてみる。

私の隣には、あれがそんなに? と思う程に怯える友人。

「……今日、これからウチ来ない!? 久しぶりにさ!」

気を使って明るく言ったつもりですが、ちょっと声が上ずっていたと思います。
友人は少し間を置きましたが同意をしたので、

私はヘリが飛んでいるのとは反対の方へと彼女を導くようにして歩き始めました。

友人はチラチラとヘリの方を振り返って落ち着かない様子でしたが、

その場から離れるにつれ元に戻り始めました。

数十分後、私の家に着きました。

友達を招くこと自体久しぶりなので、

先ほどまでの気分もすっかり改まり、むしろ少しわくわくしながら彼女を家に上げます。

玄関から上がり、階段を登り、私の部屋へ。

扉を開けて、開口一番、

「……ごめん、カーテンを閉めてほしいな…………」

私は申し訳なさそうなその言葉に再び気分を落ち込ませながら、

少しばかりイラッとしました、自分自身に。

酷いことに、友人のことを少し鬱陶しいと思ってしまったから。

友人は悪くないのに。

私は窓から外の景色を眺めます。

空を見ても、ヘリは飛んでいない。

そこにあるのは、私の部屋から真っ直ぐ先に見える場所。

N病院のヘリポート……。

実物がそこになくても、連想させるものですら駄目なのだと察します。

そしてまた思ってしまう。

面倒臭い奴だ、と。

友人は悪くないのに。

……すぐにカーテンを閉じ、電気を点け、

その後はお喋りをしたりゲームをしたりして遊びました。

ヘリのことさえなければ、やはり普通な様子でした。

その後友人が帰る際、少し心配になり

「買い物があるから」と理由付けて同伴し、彼女を送りました。

それから再び帰宅したのち、

自室に戻った私は何とも言えない気持ちになりました。

カーテンを開けて、夕焼けに照らされるN病院を眺めます。

改築中のその巨大な姿は、まるで半壊した綺麗な遺跡のよう。

そしてその一番上のヘリポート。

あの場所にヘリが停まっているところなんて、

今までほとんど見たことがありません。

いったいどれくらいの頻度でヘリ搬送される人がいるのかわかりませんが、

少なくともそんなに頻繁に見るものではないと思います。

だけど友人には、たったこれだけの景色が苦痛でならないのです。

それにしても彼女のあの恐怖症に対する反応は……。

私はこの日初めて、彼女のその恐怖反応というものを見たわけですが、

果たして、昔からあれほど極端なものだったのでしょうか。

……それならまだいいです。

ずっとそうなら、これから酷くなる可能性も低いでしょう。

ですが昔はまだマシだったとすると、

それはつまり、今は徐々に悪化してきているということ。

もしそうなら、これから先もっと……。

嫌な想像を振りはらいます。

縁起でもない。

次に会ったその時には、彼女の恐怖症が治っていますように。

次に会った時も、その次も、しばらくは何事も起きませんでした。

しかしそれは単に一緒にいる時に たまたまヘリを見かけなかっただけなので、

それだけでは恐怖症が治ったようには思えませんでした。

実際、まだ何も解決していなかったのです。


私が友人の恐怖症を再び見ることになったのは、

今度は大学に入って2年ほど経ってからのことでした。

当時既に私は車の免許をとっており、

その日はその友人を連れて車で一緒に買い物に出かけました。

買い物を済ませ、店の屋上にある駐車場で私の車に2人で乗り込もうとした、その時、

「……ねぇ、T橋の方から行かない?」

その言葉に不意を突かれ、ドキッとしました。

友人は助手席のドアに手を掛けたまま、

顔だけ振り返るようにして私たちの町の方角を眺めています。

しかし一方で、口にした場所はほぼ逆方向。

要するに遠回りをしてくれ、と言っているのです。

もう何のことかわかってる。

とても不穏な予感もします。

だから敢えて聞かないようにしたのに、それでも友人は、

裏返りそうな声で自分から答えます。

「ヘリが……!」

そう言って友人が空を指差したのを見て、

やはり私は今までにないくらい鬱な気分に陥りました。

嫌な想像は、当たってしまった。

恐れていた心配が、形になってしまった。

友人の身体は、誰が見ても分かるほどにガタガタと震えている……。

酷く落ち込みながらも、私は勇気を持って堂々と口を開きました。


「落ち着いて! ヘリなんて飛んでない!」


……納得できない友人を必死で宥め、それから乗車を促し、

ようやく運転席に乗り込んだ私は車を発進させました。

その時、助手席の友人が急に暴れ出しました。

「イヤだ! そっち行きたくない!」

出入り口がそちらの方にあったのです。

私は「大丈夫、出るだけだから!」

と言い聞かせながら駐車場から出て、

ようやく落ち着いた彼女を横目に、指定された方へと遠回りして町に帰りました。

……その日の夜は他の何事も頭に入って来ませんでした。

あの時あの駐車場で、私はヘリを見なかった……。

ただ単に見つけられなかっただけなら、どれだけ良かったことか。

残念ながら本当に、本当に確かに、

ヘリは飛んでいなかったと確信を持って言えます。

あの視野の開けた土地で、

そこにあったのは昼下がりの晴れた空と、町と、遠くの景色だけ。

下手したら鳥すら見かけなかったような気がします。

ヘリは絶対に飛んでいませんでした。

それなのに彼女だけが見ていた……、

音も出さず、

姿も無く空を漂う、

存在しないはずのヘリコプターを……。

そして言うまでも無く、それはある一つの事を指し示します。


『幻覚』


私はひとり頭を抱え込みました。

悪化しているのです。

彼女の恐怖症に対する症状が。

悪化している……。

……本当に?

ここで私はある事を思い出します。


最初に友人がこの恐怖症の話をしてきた時、

友人は帰宅途中の路上で突然この恐怖症の話をし始めました。

まるで共通の話題源を

私が理解していることを前提として発言したかのように……。

今思うと、あのタイミングで突然その話題を口にしたのは、

少し不自然な話の始め方だったように思います。

目の前に、私にも見えるヘリコプターが無い限りは。

しかしやはり、中学生の頃のあの帰り道、

ヘリなんて飛んでいなかったのを私は覚えてる。

そう思ってこの日、買い物をした店の中にある

小さなペットショップの前を通った時、

友人が「犬は苦手、猫の方が好き」と言っていたのを思い出します。

まさにあんな感じで話を始める方が日常会話として自然だと思うのです。

あの時は私もペットショップがあることを知っていたから、

彼女の言葉にすぐ「私は犬の方が好き」と返答することが出来たのです。

「犬は怖いでしょ、噛みつくし」

「普通は噛まないよ」と会話を続けることが出来たのです。

そうです、

目の前にレストランがあるから、「お腹空いたね」

目の前に映画ポスターがあるから、「面白そうだね」



目の前にヘリが飛んでいるから――――



そこまで考えて、ふと思い出しました。

そうだった……、友人がヘリを見つけた瞬間の、あの顔……。

私はずっと前から、彼女のあの顔を知っている。

不安げな、恐れるような。

そう……、友人のあのヘリに恐れる顔を私が初めて見たのは、

まさにその中学生時代の帰宅途中の時だったのです。

「(あの時も友人の目の前にだけ、ヘリが飛んでいたんだ……)」

しかしあの時から既に、

無いはずのヘリという幻覚が友人の目に見えていたとすると、

それは、つまり、『症状』だけは昔から変わらず、

『反応』だけが極端になって来ているということ。

……少し、妙に思います。

他人に共通の話題として振るほど…

本物だと勘違いするほどリアルな幻覚を、あの日友人は見ていた……。

現在よりもまだ極端には怖くなかった頃から、幻覚を、それもそんなにハッキリと?

考えすぎかとは思いますが、

でも本人もまだ正常であるうちにそんなに強い幻覚を見るものでしょうか。

ましてや、それが今になって、だんだん怖くなってきた……。

ヒステリックな反応を起こす程に……。

こじ付けた考えだと言ってしまえばそれまでですが…

いえ、こじ付けならば、それが一番良い。

または、幻覚だとしてもまだ幾分かマシ。

幻覚でなく、本当に友人にだけ見えるヘリコプターがそこにあるとしたら……。

……馬鹿らしい。

そんなことあるわけがない。

第一『友人にだけ見えるヘリコプター』って一体何だって言うんでしょうか。

ヘリの幽霊?

それはそれは可笑しな幽霊だ。

何でもかんでもオカルトに繋げようなんて…

自分のオカルトギークっぷりに嫌気が差します。

これが真剣に友人を恐怖から解き放とうとしている人間の思考と言えるでしょうか。

幻覚だろうが何だろうが、困っているのは私でなく友人です。

ありもしないヘリが怖いままではマトモな生活を続けるのは難しいでしょう。

だってそんなの、空に怯えているようなもの。

私が何とかしないと……。

他の誰かが、彼女を空の無い場所へと幽閉してしまう前に……。

だったら今私に出来ることはこんな妄想ではなく、もっと現実的なこと。

せめてもう少し頻繁に会うことが出来れば。

そう、もっと多く会えばいい。

……私は早速この日から、

以前よりも積極的に彼女と連絡を取るようにし、この日遊ばない?

次はいつ遊ぶ?と頻繁に会う約束を入れ始めました。

時には2人で、時には複数人とともに、

その徐々に会う頻度が高くなる中で、私は友人のヘリに対する反応の中でも

特徴的だった部分をまとめていくことに成功しました。

……彼女のヘリに対する反応で、特徴的だったのは以下です。


1.本物でも幻覚でも、そこにヘリがあると本人が認識すればとにかく怯える

2.自分が建物や乗り物の中にいても、外にヘリが見えたら怖い

3.ヘリポート等、ヘリがいつ来るかわからない場所も怖い

4.映像や写真等、明らかに自分に直接関係無い場合は基本的に大丈夫

5.ただし「4」でも、映画等においてヘリが原因で人が死ぬシーンは不快

6.複数のヘリを目にした際はその場から逃走する

7.こちらが大人数でいる場合は、恐怖心が薄れるため平気

8.ヘリ以外の『空を飛ぶ乗り物』は大丈夫

9.ヘリ関係でなければ、本当に普通

そして、
10.ヘリに独立した意識があって生物であると、本気で思っている

11.曰く、ヘリには顔があり、声をもつ


……これらをまとめた私の率直な感想は、

失礼ながら、「重症だ」という考えでした。

後日、今までは遊ぶ名目で会っていた友人と、

今度は初めて正式に「恐怖症のことで話がある」と言って会う約束をしました。

場所はN駅の前にあるファミレスを選びました。

窓から空の見えない、奥の方の座席です。

そこでまず私は友人に、今まで会った中で彼女が恐怖反応を起こした際、

その度に私がどのような感想を持ったか、

どう思ったかを包み隠さず話し、謝罪しました。

まずそれからでないと何も始まらない。

その時の私はそう考えたからです。

……やはりどうやら、彼女は当時から私の内心に気付いていたそうです。

気付いていたからこそ、

迷惑を掛けたくない一心だったはずなのに、

それでも実際にヘリを目の当たりにするとそれどころじゃなくなり、

結局は毎回私に「ヘリが…ヘリが……」と縋ってしまっていたらしいです。

それを聞いた私は、

今回こうして自分の本心をわざわざ明かすような真似をしてしまったことも

申し訳なくなり、合わせて謝罪しました。

友人は、「裏で何を思われているかわからないよりずっと良い。

打ち明けてくれて少しスッキリした」と言ってくれました。

また、「代わりに、今度は私がどう思っていたかを話させてほしい」とも。

私は頷き、彼女の心の内を聞きました。

今までの私からの誘いが本当は『遊ぶ』のが目的でないことに気付いており、

少し気が引けていたことも。

私が上に書いたような『まとめ』を作るため、

取材的に情報を聞き出そうとするのが鬱陶しかったことも。

……そして一通り私がそれらを受け入れると、

最後に友人は「あとさ……」と付けたし

、きっと一番言いたかったであろう気持ちを私に打ち明けました。



今さら助けてくれないで、と。



私は少し悩んでからその言葉も受け入れましたが、

居た堪れなくなって、何も言えなくなってしまいました。

一番最初に話を聞かされた時点で、

あれが友人なりの真剣な悩みの相談だったことに…

SOSだったことに、私は気付いてあげられていなかった……。

……結局この日ファミレスに友人を呼び出したのは、

こうしてお互いの心情を確かめ合うという、たった一つの目的のために終わりました。

何も発展せず、何も出来ないまま、この日はこれでハイ解散。

割り勘で、端数は私が出し、そして店から出ると、

お互いに別の方向へと歩き始め、それから何年も会うことはありませんでした。



ただその日から私は、空や写真や、テレビ、

映画等でヘリを見かけては、その友人のことを思い出すようになりました。

そしてその度に、何ともやりきれない気持ちが

心の底に滞留していることに気付くのです。

友人のあの状態を、私以外の人が知らないとは、考え辛い。

私より仲の良い人なんてたくさんいただろうし、

そもそも親だって知らないわけはないでしょう。

そういった周りの人間が、彼女がいよいよヤバくなってきた、

とすると、下手をすれば 今頃既に病院へと連れて行かれている

可能性だって考えられました。

その結果どうなっているかなんて、イヤな予想しか思いつきません。

あんな極端な症例が、病院に数年通った程度で治るのか、

なんてことより真っ先に思いつくのは、空の見えない病室への隔離、幽閉……。

最近の病院に限ってそんなことあるわけ無いと信じつつも、

ある理由で病院に好感を持っていない私にすれば、その信念も容易く揺らぐ……。

そしてそうこうしているうちに、再会の時はやって来たのです。



社会人になり、私がK繁華街のとある店(K店)で働き始めて数年……。

ある女性客がレジまで来たので、

いつも通りレジ対応しようと思ったその時、

その女性客がバッグから財布を取り出そうとしたまま固まり、続いて

「おぉ!?」

という声を上げました。

見ると、驚いたような…そして少し嬉しいような笑みの混じった顔で、

私の顔をじっと見つめています。

私は一瞬「!?」と思いましたが、

気付いたらワンテンポ遅れで彼女と同じようなリアクションをしていました。

そう、その女性客は、あのヘリ恐怖症の友人だったのです。

そして「何でいるの!?」「何で来てるの!?」

というやたらテンションの高いやりとりが続いた後、

ようやく落ち着きを取り戻しては

「K繁華街のK店で友達が働いてるっていうから来てたの!Yって人、いるでしょ!?」

「嘘!? Yさんのこと知ってるの!?」

という思いもしない偶然の繋がりに再びテンションが跳ね上がり…といった始末。

大声で自分の名前を呼ばれたことに驚いたのか、

慌てて当のYさんもレジまでやってきて、

それから私とその友人が共通の知り合いであることを知り驚愕。

何故かその流れで、私・友人・Yさん含む店の人間という

大世帯のメンバーで後日呑みに行くことに。

実際のところは、当初から計画されていた月一の飲み会に

特別にその友人が加わったというだけなのですが、

友人は私ともYさんとも友達であることから

他の人たちともあっという間に打ち解けたようで、

以降の飲み会にも何故か呼ばれるようになりました。

それからというもの、店の人間の飲み会に

客が一人参加というちょっと風変わりなスタイルが

『いつものメンバー』として定着し、月一飲み会は行われ続けることになるのです。

しかしその『いつものメンバー』の中にいる友人を見ていると、

数年前まで彼女を悩ませ続けていた例の恐怖症は

すっかり治まったように見えました。

少なくとも私は病院送りになっていなかったことに安心し、

また仲間たちと話す友人のその明るい様子を見ていると、

今までの自分の悩みも不思議と解消され、少し喜びも感じていました。



……そうして数ヶ月が経過した頃です。



そのいつもの飲み会メンバーで、また恒例の月一飲み会を開くことになった日。

その日は飲み会の前に、集まれる人は少し早めに集まって、

皆でボーリングに行こうという話が持ち上がりました。

飲み会の開始時間を考え、だいたいボーリングは2時間ぐらいで良いのでは?

ということで、集合は少し早めの夕方となりました。

空も、まだ明るい時間です。

飲み会からしか参加出来ないという人は数人いましたが、

ほとんどのメンバーはボーリングの約束にも集まり、結構な人数となりました。

こんな人数でボーリング出来るの? といった感じです。

お互いに家が割と近かった私と友人はまず2人で落ち合い、

それから集合場所であるN駅の駅前広場へと赴いて皆と合流しました。

ちなみにその頃既に私は、友人の恐怖症のことなどすっかり忘れており、

彼女とも普通に接することが出来るようになっていました。

しかしそれもまた今思えば、ただ単に一緒にいる時にヘリを見かけていなかった、

というだけのことだったのです。

私と友人が飲み会メンバーと合流して数分。

まだ来ていない人たちを待つ間、

私たちは駅前広場にかたまりを作って暇潰しのように雑談をしていました。

その時です。

……ババババババババババババババババ…………

それに気付いた時、思わずドキッとしました。

この音は……。

私は直前までの皆との会話もそこそこに、不意に上を見上げました。

駅ビルや他の周囲のビル群に囲まれた小さな空の中、

暗くて小さな影がゆっくりと漂っていたのです。

……ババババババババババババババババ…………

ヘリコプターだ……。

何となく、久しぶりに見たような気分になりました。

本当はあれから何度も見ていたのかもしれないですが、

少なくともいつの間にか、見かけても意識しなくなっていたようです。

そして同時に、ようやく恐怖症の話を思い出したのです……。

ふと、友人が気になり、そちらの方を見てみました。

……友人も、ヘリを見上げていました。

不安げな表情ではなく…恐れおののいたような表情……。

彼女のその顔を見た瞬間、「あ、マズイ」と予感しました。

そして、1秒後にはきっとパニックを起こすであろうその瞬間――――

――――その瞬間には既に、友人は、

バッグを持っていない方の手で頭を掻きむしりながら声を上げていたのです。


「いやッ! 来る! 来るーー!!」


その声を聞いた飲み会メンバーたちは突然の友人の発作に驚き、

一瞬反応を遅らせてから慌て始めました。

「……え、何? どうしたの!?」

「何だ何だ!?」

「……ねぇ大丈夫!?」

友人は上空を漂うヘリを…ただその一点を凝視したまま

その場に座り込んでしまいました。

しゃがむというより、腰が抜けた感じで地べたに尻もちを突いています。

私は情けないことに何もしてやれず、

ただ呆然と突っ立ってその様子を見ているだけでした……。

その時、私はあることを考えていたのです……。

以前、恐怖症の特徴をまとめるために、友人を何度か観察したりしていた頃。

その頃にも、今回と面子は違いますが

こうして大人数で集まったことが何回かあります。

そしてその時にもヘリを見かけたことがあり、

その際の反応も私は観察し、まとめていました……。


7.こちらが大人数でいる場合は、恐怖心が薄れるため平気


平気じゃ…なくなっている。

大丈夫じゃなくなっている。

悪化しているのです、あの頃よりも、ずっと。


……ババババババババババババババババ…………


低いうねりをあげて、ヘリは狭い空をゆっくりと旋回しています。

私はそれを見上げては、介抱されている友人を見て…と、

そわそわした気持ちのままそんなことを繰り返していました。

周囲を行き交う人々が興味深そうに友人の方をチラチラと見て行きます。

「ヘリが……! ヘリがっ……!」

「ヘリ? ヘリって何? ヘリコプター!?」

わめき続ける友人と、時折空を見上げつつ介抱する飲み会メンバーたち。

すると共通の知人であるYさんが皆に説明するようにして言いました。

「彼女はヘリコプター恐怖症なんだけど……」

皆はその珍しい恐怖症に驚いている様子でした。

一方で私は、Yさんの言葉を聞いた瞬間、

「やっぱり知っていたんだ……」というようなことを考えていたと思います。

飲み会メンバーたちは「そんな恐怖症あるの?」

と一頻り戸惑った後、とにかく、といった様子で再び友人に必死に話しかけ始めました。

友人はまだずっと「ヘリが……!」と顎を震わせながら喚き続けています。

さっきから何も出来ないでいる情けない私は、

ここでやっと「友人を助けなければ……」と意を決することが出来、

ようやく彼女のもとへと近づこうとしました。

その瞬間、友人を介抱しているメンバーの1人が、

彼女の肩を揺さぶりながら声を荒げました。




「落ち着いて! ヘリなんて飛んでない!」




……
……


ゾクリ…と、する。

一瞬理解できず、少し遅れてから、

何度も頭の中でその言葉がループ再生され始めました。

何を言っているの? という疑問とともに……。

そんな中、自分だけが取り残されたような奇妙な感覚だけが、

私の身の回りを包み込みます。

飛んで、いない?

飛んでいない?

いったい何を言っているの?

何を言って……

……

雑踏が遠のいていく……。

私はその場に立ち竦んだまま、

意識だけがグルグルと回るその不快な感覚に酔ってしまったようでした。


……ババババババババババババババババ…………


おかしい。

絶対におかしい、そんなはずは、無い、

けど、もう今の私には、空を見上げる勇気はありません。

そしてその状態のまま、考えていることはとても単純なこと。

「(私も幻覚を……?)」

冷静になれば、決して有り得ないとは言い切れない。

ずっと友人の恐怖症のことを考えているうちに、

神経質になりすぎて、終に私にもその症状が出始めてしまった、と考えれば。

ただ、それを認めたくはありません。

だって、今も聴こえる……。

……ババババババババババババババババ…………

ほら、さっきより音が近い。

きっとこちらの方向に旋回し、丁度私たちの真上へと近づいて来ているところ。

だからあれは本物のヘリ。

そのヘリが、私たちの真上へ、近づいて…来ている?

……ばばばばばばばばばばばばばばばば…………

近づくにつれ、ヘリの音が、はっきりとしてきました。

そして、はっきりとするにつれ……。

……ぅぅぅぅぅぅうううううウウウウウ!

!?
はっきりとするにつれ、これは、もしや、と思い始めます。

思い始めた瞬間、私は既に友人のもとへと駆け寄っていました。

そして地べたにへたり込む友人の両脇に手を掛け、一気に引き上げて立たせます。

支えきれず、思わず転びそうになってしまいました。

介抱していた皆は私のその行動に驚いていましたが、そんなの構いません。

……ウウウウううううううううぅぅぅぅ!!

もちろんその間、空なんて見ません。

いきなり立たされバランスを崩しかけた友人を抱き支えながら、私は皆に言いました。

一方的に、忙しくたたみ掛けるようにです。

返事だって聞きません。

「ねぇ、みんな! 今日はちょっとやめにしない!?

調子が悪い子に無理させちゃいけないもんね!?」

「えっ、あの――――」

「この子は私が送って行くから、みんなは安心して!! ね!?」

メンバーは全員、私の突然の慌てように呆気にとられている様子でした。

しかしそんなことも全部お構い無しです。

何せ私がそれを言い終わるか否かという時にはもう、

音は私のすぐ背後でうねりをあげていたのです。

ぅぅぅううううううううウウウウウッッ!!!!

左耳のすぐ後ろに微弱な空気の流れを感じた瞬間、

私は友人の手を引いて飲み会メンバーたちのもとから走り出していました。

その瞬間にYさんが「俺もついて行こうか」

というようなことを慌てて叫んでいたような気がします。

でもそれも無視です。

ひたすら走ることに精一杯です。

正直、友人にもし直ぐに走り出す勇気がなければ終わっていたかもしれません。

一か八かで走り出し、あの腰の抜けた状態から奇跡的に

友人が足を奮わせて私に歩を合わせてくれたことに感激しながら、

とにかく駅周辺を走り、路地裏に入って、ビル裏の道路を駆け抜けました。

うううううううううううウウウウウッッ!!!!

振り返る。

見える、本当に見える……!

まだ追って来ている……!

有り得ない事態に、必死に走りながら、それでも考えます。

そんな馬鹿なことがあるか! と。

あれにはプロペラなんて付いていないし、そもそも人間だって乗っていない……!

そして何より、ヘリよりもっと小さくて、

ヘリよりもっと…私たちの頭上間近を飛んでいた!

どうして、

どうして昔から見ていた彼女も…そして直前までの私も、

あれの正体にすぐ気付かなかったんだ!

あんな物がヘリコプターに見えていたなんて!

あんな音がプロペラ音に聴こえていたなんて!

あれは……、

あれは……、


犬の頭だ!!


……私が最初にそれに気付いたのは、

先程の駅前広場での、ほんの一瞬のことでした。

ヘリなんて飛んでないと言われて混乱した私に、音が近づいて来た時です。

プロペラ音のようだった重低音のようなうねりが迫って来るのと同時に、

嫌な臭いが鼻についたのです。

獣臭い…それも腐ったような……。

順番的には、それに異常さを感じ取ってから、

初めて音がプロペラ音ではないことに気付いたのです。

あぁ、じゃあこれは獣の唸り声なんだ……、と。

数年前、一緒に車で買い物に出掛けた日、

買い物をしたお店の中にある小さなペットショップの前で、

彼女が言った言葉を思い出します。

「犬は苦手……」

「犬は怖いでしょ」

「噛みつくし」

犬は怖い。

噛みつく。

彼女はそう言っていました。

そうだ、犬も怖かったんだ……。

ペットショップ前ではそれほど怖くはなさそうだったのは、

そこにいたのがあくまでペットショップの犬であり、

彼女が恐れる特定の犬ではなかったから。

それでもきっと犬全般が駄目なのだろうけれど、

しかし彼女が一番恐れていたのは、あの犬。

振り向いてももう、追って来ていない……!

まいた……!

私と友人はようやく走るのを止め、

息を整えようと前屈みになってゼェゼェ言いました。

『あれ』を連想させるから、今まできっと他の犬も怖かったのでしょう。

だけどそれより怖かったのは、

彼女が『あれ』と見間違えていた、『ヘリコプター』。

そしてもちろん、『あれ』そのもの……。

さっき逃げながら振り返った時、曲がり角でチラリと見えたその異様な姿を思い出します。

あんなもの、今まで見た事がありません……。

灰色に変色した犬の頭に、首の切口から突き出して途切れた背骨。

人間の以外ではっきり見たのは、これが初めてです。

どうしてそうなったのか、という疑問と、

あと、何故彼女には『あれ』がヘリに見え、ヘリが『あれ』に見えていたのか……。

それは何となく、私には予想がついていました。

要するにヘリと『あれ』を混同していたのは

本当に精神的な事が原因だと思われるのです。

だから本物のヘリだろうが、本物の『あれ』だろうが見境なく、

とにかく自分に噛みつこうと狙っているように見えたのでしょう。

彼女にとっては、ヘリと『あれ』は同一の存在だった……。

ヘリポートだって彼女にとっては、『あれ』のよく来る場所だったのです。

頭の中で色々と整理を付けた私は、

今度はそもそもの根本的原因について考えます。

……考えなくても、これも何となくわかります。

私は逃げている時から感じていた、

こちらに対する異常なまでの殺意にまだ身震いしながら、

息も整わないうちに友人に近寄り、彼女の肩を手で強く押しました。

「昔、何をしたの!!」

友人もやはり私の様子から、

私にも『あれ』が見えたことに気付いていたようで…

すべて見透かされていると観念したのか、自白するような口調でボソリと言いました。


「……小さい頃、犬を殺してしまったことがあるの」


……
……

結局、その続きをすぐその場で聞かなかったのは、

覚悟していたとはいえその予想通りの返答に私が参ってしまったから……。

あと、その場でのんびり聞いていては、

せっかく逃げ切ったのにまた『あれ』に見つかってしまうため……。

そのため改めて聞かせてほしいと私の方から切り出し、

後日彼女の家に行って聞くことにしたのです。

なので以下は、その後一旦それぞれの自宅に戻り、

また別の日に彼女から聞いた、彼女の告白です。



小さい頃、遊んだ帰り道で犬に追われて噛みつかれた経験のある友人は、

その頃から犬が大嫌いでした。

ただしその一方、決して動物が嫌いというわけではなく、

特に猫は好きだったそうです。

小学生になってからしばらくののち、

友人は親に「猫を飼いたい」とお願いしました。

しかし親には「猫はいろんな場所を傷つける」という理由で、

却下されてしまったそうです。

それから数ヵ月後、友人が誕生日を迎えた日。

親は、彼女が「ペットを飼いたい」と言っていたことを覚えており、

「猫じゃないけど……」と、プレゼントにペットを買ってあげたそうです。

それが、『犬』でした。

友人は猫じゃないどころか、大嫌いな犬を飼うことになってしまい、

ショックを受けたそうです。

しかし親に反論する勇気もなく、

また厚意でこんなに高いペットを買ってくれたのに

文句を言うことに引け目を感じてしまったため、

あくまで『可愛がっているフリ』をして、犬を一生懸命世話したそうです。

少なくとも、親の前では。

きっと近所の人が見ても、その犬の可愛がり方は、

本当に心から可愛がっているように見えていたはずだ、と友人は豪語します。

それほど、一生懸命な『演技』だったのだそうです。

親を傷付けたくはなかったから……。

そして、それがいつしか友人にはストレスになっていった……。

どれだけ周囲を騙しても、自分の本心だけは騙せない。

どうやって可愛がっても、犬は大嫌いでした。

……そして、思い立ったのです。

もう、こうなったら……。

その日、友人はいつものように犬の散歩に行くと言って出掛けました。

いつもは行かない、緑の深い公園へ(私も知っている公園です。かなり広いです)。

普段は行かないような遠出の散歩に、犬はとても喜んでいたそうです。

そこで……。

私は具体的なことも聞きましたが、あんまりなのでカットします。

先述した『あれ』のその姿形から、

どのような所業が行われたかは、想像するに難しくはないと思いますが……。

……その後、手ぶらで散歩から帰って来た友人は、

親には「誤ってリードを放して、逃げられてしまった」とウソをついたそうです。

父親が近所の人と探してようやく発見したのは、

公園内の公衆トイレの裏の茂み……。

しかもこんな場所にあって見つかるわけがない、というような奥まった場所……。

それが、2日後のことだったそうです。

警察だって調べてくれたにも関わらず

「ホームレスの仕業だろう」ということで治まってしまったようで……、

友人はここでも『泣く演技』をして親を欺き、それからただの一度も口外せず、

今まで生きてきたそうです。



私はこの話を、友人の両親も含めて一緒に聞きました。

私がそうしろと、彼女に言ったのです。

もちろん、現在身の回りで起きていることも真剣に親に相談し、

正規の祓いを受け、そして心から供養の意思を持って、反省をするように、とも。

……これが、この話では一番最近のことです。

今ではこの文章化に際して許可を取るために電話した以外で、彼女と接点を持っていません。
犬が大好きな私にとって、彼女の行いは許せないことだったので、

つまり、簡単に言えば、絶交しました。



さて、私はそれからはもう『あれ』を見ていませんので、

結局実際にこの目で見たのは

あの時の駅前広場での1回だけ、ということになりますが……。

きっと今は供養もされて、成仏しているだろう、と、ただその一つを願っています。

友人もきっと、今後はもう以前よりは悩まされる事は無いでしょう。

それでも分かる人には分かってしまうらしい『ニオイ』は一生残るのでしょうが……。

私はどうでしょうか。

私は、少しヘリが怖いです。

もしたった今にでも実物のヘリを見たら、正常でいられるか、少しわかりません。

少なくとも今後の人生でヘリを見かける度、

今回のこと、友人のこと、そして友人の行ったことを思い出すことでしょう。

その中で平然としていられるかどうかも、自信がありません。

しかし、それはともかくと致しましても、

何より……、

今、私にくっついて寝ているこの子は、絶対に大切にしなければ、と思っています……。

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ピカの思い出
2009年12月28日/投稿者:姫子

これは本当にあった不思議なお話です。

私は生まれつき霊感があります。

強くもありませんが、弱い訳でもありません。

義務教育の中で必ず勉強するもの。

それは広島と長崎の原爆。

私の通っていた中学校は人数も少なく同級生は私を含めて3人しかいないので、

中学校生活の中で最も楽しみにする修学旅行は隣町と合同で行きます。

その旅行先の一つに広島も含まれていました。

現地に到着し原爆ドームを生で見た私は

不思議に懐かしい感覚に襲われました。

初めて来るのにも関わらず、

長い年月を経てやっと戻る事が出来たと言う故郷にやってきた旅人のような。

何故かデジャヴのような感覚も。

原爆ドームを挟む大きな橋と川。

ここで何十、何百という被爆した方々が

水を求めて集まったというその場所も、

本当に不思議な感覚で懐かしさと悲しさとせつなさと。

本当に何とも言えない、表現が出来ない感情が心を掴まれます。

それから不思議な事に。

旅行も楽しみ終えて、高校に入学。

私が通っていた高校の修学旅行先は韓国でした。

が、私の学年のクラスの時だけ、国内旅行という事になり

東京ディズニーランド、そして再び広島へ向かう事になったのです。

二度目の広島にも関わらず私は全く不快にも落胆もありませんでした。

やった!また行けるんだ!!と思う程に楽しみで仕方がありませんでした。

偶然は更に続きます。

辛い事が重なり続けて私は家出をしました。

泣きながら田舎を出て当時知り合った都会へ住む友達の元をたずねた時でした。

その友達は霊感等はありませんが

予知能力のようなものがあり、夢でそれを見るそうです。

私の顔を見るなり彼女はこう言いました。

「夢でね、真っ白い着物を着た髪の黒くて長い女の人を見たよ」

「その人と私何か関係があるの?」

私と出会う以前にも彼女は夢の中で同じ女性の後姿を見ているそうです。

夢の中の女性には旦那様と子供がいました。

旦那様は兵隊さんで、戦争に行っているそうです。

女性と赤ん坊は旦那様の帰宅を信じて日々を過ごした所、

空が光って続けて黒くなり視界を失いましたが、

暫くすると見えた町は跡形もなく消えうせて瓦礫の山だったと。

「その女の人、あなたと雰囲気がそっくりなの。

そして旦那さんは終戦後妻と赤子になけなしのお金で

しいたけを土産に帰る途中で死ぬの。同じ光の中に吸い込まれて」

「それって原爆の光じゃないの?」

「わからないけれど、そんな感じが凄くするよ」


死体の山を平然と歩き回り黒こげた赤子を抱いて旦那を探し、

その果てに見たのは旦那の死体。

転がるしいたけ。

抜け落ちた自慢の黒髪。

汚れた白い着物。

そこで夢は終わるそうです。それから続きは見ないそうです。

私が広島に来て懐かしさを覚えたのは、これの為なのでしょうか。

小さい頃から私は髪を伸ばす方で長さは腰以上もあります。

しいたけも小さい頃から大好物の一つで鍋に入っていると独占して食べる程でした。

ヴィジュアル系に熱中だった私は黒い服を着る事が多かったのですが、

先輩や家族には「黒よりも白が似合うよ」と言われることが多いです。

私は今でも広島の原爆の日と終戦記念日を

別に勉強の為に覚えた訳でもないのに自然と

「あ、そろそろあの日だ」とついカレンダーを見つめてしまいます。

今でもテレビや雑誌等で広島の原爆が落とされた場所を見ると、

懐かしさがこみ上げます。

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夜道の出来事
2009年11月1日/投稿者:りゅん

これは何年か前の体験談です。

僕はとある小学校に通ってた小学生でした。

成績は悪くて親からは塾へ行きなさい、と言われて

夜遅くに塾に行ってたものでした。

たまたま、行った塾に学校での友達がいて、行き帰りは一緒に行っていました。

ある日、僕が塾の宿題を忘れてしまい、

宿題を終わらすため塾に残ってやっていました。

友達は待っていてくれるそうなので、急いでやって提出しました。

提出したころは、もう辺りは真っ暗、歩いてる人や車が通ってる気配はありません。

僕「遅くまで待たせてごめんね」

友達「気にするなって、んじゃ一緒に帰ろうぜ」

そして、自転車に乗って友達と一緒に帰ります。

僕「こんな夜遅くだから、お母さんに怒られちゃうなぁ」

友達「じゃあ、こっちの公園を通っていけば近道だぜ」

確かに、公園の道を通ると近道になる。

その公園は大きな湖があって、よく釣りをする人がいる。

僕「僕はこっちの方面だ、ここでお別れだね」

友達「おう、また明日学校でな!じゃ!」

そういって、友達に手を振って道を進むことにしました。

湖のある公園を越えて、後は真っ直ぐ進むだけ。

ただそれだけなんです。真っ直ぐ進むだけ・・・。

僕「どうしたんだろう、道に迷ったかな?」

こっちの道であってるはず・・・でもおかしい、

そろそろ道路に出てもいいくらいなのに・・・

まぁ、大丈夫だろうと真っ直ぐ進んでいました。

10分くらいしてもまだ道路に出ません。

そのとき携帯にメールが届きました。

差出人不明のメールでした。

当時、知らない人からのメールは開けないということを

知らなかった僕は、当然の如く開けてしまいました。

題名と本文が文字化けしていて読めません。

いたずらかな、削除してまた道を進む。

削除したとたん、また受信。

なんだよ・・・と思ってみてみるとまた差出人不明の文字化けメール。

「あて先を間違えているんじゃないですか?

いたずらならやめてください」と返信しました。

携帯を待ちうけに戻すと・・・

赤い文字で「貴様は殺される、お前は死ぬ、呪ってやる」と書いたあったのです・・・。

時計の表示は44:44、語呂で「死」と読み取れる。

そして、またメールを受信。

開いてみると・・・


「貴様ヲ殺シテヤル」


恐怖が全身を伝わる、戻れば公園に戻れる、

そう思って振り返った瞬間、金縛りになり倒れこみました。

誰か来る、足音がする・・・

片手に大きな刃物を持った男がこちらに向かって来ます。

血まみれの服を着て、異様な言葉を吐きながら・・・

僕はその男に連れて行かれました、

僕は大声で助けを求めようとしましたが声が出ません。

万事休すと言えるほどの状態だ。

連れて行かれた場所は霊園、こんな都会に霊園なんてあるわけない・・・

辺りは鬼火が浮いており、死んだ霊が彷徨っている

そして墓石の前に辿りつきました。その墓石に名前が彫ってあります。僕の名前が・・・。

男は大きな刃物で僕の首を切り落とし・・・

そこから意識は遠のいていきました・・・

その後のことは一切覚えていません。

気がつくと、僕は公園に立っていました・・・

携帯を見ると、時刻は23:30、あのメールも消えている。

僕は急いで帰りました。

それで、その公園を越えた道にはボロボロの立て札があってこう書かれていた。

!警告!

この道を夜中に通ると、呪われる、寿命が縮むなどの怪奇現象が多発しています。

夜に通る際は十分にお気をつけください。

なお、この警告を無視して呪われてしまったり、

寿命が縮んでも保障はいたしません。と


この出来事は今でも頭に残っています。

またあのような出来事がある・・・と思うとゾッとして通れません。

朝にちょっと様子見でそこの道にいってみると、

不思議なことに、あの立て札がありません、

一体あの出来事はなんだったのでしょうか?

ただの夢なのでしょうか、それとも幻か、

はたまた現実で起きている本当の怪奇現象なのでしょうか・・・?

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噂のあのひと
2009年9月26日/投稿者:A列車の男

つい最近の出来事です…。

先日までオカルト好きの友人(女の子)と、

ある噂話…と言うよりも都市伝説について調べておりまして。

ちょっと今回の件でどんな影響が出るか知れたもんじゃないことがわかったので

詳細は控えさせていただきますが、

いわゆる「口裂け女」的な、実在するはずの無い

『おばけ』や『怪人』を敵として登場させる、まあ良くあるタイプの都市伝説なんです。


良くあるタイプだから…


と、高をくくっていた私と友人の2人は、

その『敵となる対象』との遭遇を求め、安易な気持ちで

よく夜の街に出歩いては『そのひと』を探していました。


もちろんそんな「都市伝説」を相手に、テキトーに歩き回って探すなど、

我ながら方法としてどうかとは思いますが、

何せ出現場所が不特定だったので仕方ないのと、

夜の街を歩くこと自体がなんだか楽しいことのように思えてきたのとで、

2人して飽きもせずただの散歩のように歩き回るのが常となってきていました。

だいたいいつも後半は雑談タイムです。



しかし、執拗に探ると相手に勘付かれるんですね。

怪物を倒す者は云々って言いますし。



そのひとは思いもしないタイミングで現れました。


そんな都市伝説のこととはまったく関係なく、

ただ単に「一緒に買い物に行こう」という至極まっとうな約束事を2人でした、


ある日のこと。


買い物をする予定のショッピングセンターの近くにある美術館の前で待ち合わせ、

私は約束の時間である朝10時を目指して家を出ました。

晴れです。夏を思わせる日差しと、

初秋を思わせる涼しい風が入り混じって街を包んでいます。

私の大好きな気候です。

暑すぎず涼しすぎずの、とても気持ちのいい空気。


そのつもりで家から歩き始めたのですが、何故かどうも気持ち良くない…。

何とも言えない、おさまりの悪い感じ…。

その感じは家の近くの並木道まで来たところで急に強くなりました。

沈んだ気持ちで、並木道を歩く…並木道を歩く……ほんの気まぐれで振り返る…。

遠くに黒い人影がいました。

あ、と思った瞬間、帽子を被った女性のような『そのひと』は手を大きく振りました。

おーい、と言ってるように。

誰に手を振っているのかと、もう一度前を見ますが誰もいません。



あきらかに、私に手を振ってる……!

でも、私はあの人を知らない……!



イヤな感じがしてまた振り返る。『そのひと』はこちらへ走り出していました。

動作は全力疾走で、動きはスローモーションで。

人間じゃない…。両足が地面から離れている間の滞空時間がおかしい…!

人間じゃないんだ…!

そして次に思ったことは、「追いつかれる!」という予感です。

相手はとても遅いのです、スロー再生したようにゆっくりなのです。

なのに追いつかれるのがわかりました。私は慌てて逃げ出しました。

そして走りながら考えます。

あれは、やっぱり噂の奴なのだろうか…。

異様に背の高かったシルエットを思い出します。

遠くとはいえ街中です。比較物はいくらでもありました。


感覚で身長2m以上…。


やっぱりそうだ…。そのひとは異様に背が高いことも噂としては有名だったのです。

でも昼間にもいるなんて、聞いてない…;;

何分か走り、美術館前に辿り着きました。

友人が来るのが先か、あのひとが追いつくのが先かで

そわそわしていると、友人が「おーい!」と言ってこちらに駆け寄ってきました。

私は安堵すると同時に、その必死の形相を見て再び緊張します。

彼女のところにも来たんだ…。

問いかけると彼女は頷き、私にも聞き返しました。

私も頷きます。

「どうしよう、まだ追っかけて来るかなぁ…」

そんな心配をする彼女を余所に、

すでに私は周囲の静けさばかりを気にしていました。

「ねえ○○…、ここに来るまでに誰かと会った…?」

私の問いかけに硬直し、青ざめた顔で、ぎこちなく周りを見渡す彼女。

なんとなく私も見渡します。

こんな昼日中に、誰一人としていない。

こんな大通りに…。こんな待ち合わせスポットに…。

次の瞬間、私は再びその姿をとらえます。

まるで私たちと待ち合わせをしていたかのように手を振りながら、

こちらに駆けて来る影…。

よく本当に幽霊を見た時は案外冷静だとか、

その時は怖くないだとか言いますけど…。

これは違いますわ…。その姿を見た瞬間、すでに私の喉は悲鳴をあげかけていました。

見た瞬間に、怖い、ヤバイ、と本能的に感じたのです。

その時は一瞬にして身体が緊張しました。

そして「身体が動かない!」と思うより早く、

私は友人の手を引いて走り始めていました。

正座をした後でも「立ち上がれない」と思う前に立ち上がると意外と大丈夫。

と、走りながらわけのわからないことを考えていました。

そして2手にわかれるか否かの一瞬の判断でやっぱり2人で逃げることに決め、

今度はすぐさま、美術館に逃げるかショッピングセンターに逃げるかで迷って、

一瞬の判断でショッピングセンターの方へ走りました。

友人は何度も転びそうになっていましたが、私は構わず引っ張り続けました。

ショッピングセンターに入ると、やはりそこに人の気配はありません。

もう10時を過ぎてオープンしている時間のはずなのに…。

どこに逃げようか。上の階へと逃げようか。エレベーターを呼ぶ。遅い!遅い!

コツン……コツン……

ああ、足音だ。すぐそこまで来ている。

噂ではそのひとはワープもするんだった…。

一歩一歩の間隔がやけに広いその足音を聞きながら、

私はそんな嫌な事も思い出していました。

エレベーターは、まだ来ません。

友人に「こっちから行こう」と言って、2人で階段へ向かいました。

そして2人で3階(だったかな…?)の通路の奥ばったところに隠れたのです。

「これってマズイよね…」

友人が呟きます。

そう…怪異に巻き込まれる際に、誰もいない、

姿だけそっくりな異界へと迷い込むというのは、

まぁまぁある話だとは思いますし、良く聞きますが…。

この噂で、そんなのあったっけ。考えるまでもなく、無かったんです。そんなの噂には。

そしてそれが無い、ということは、つまり、対処法も無いということ。

少なくとも私たちは知りません。

コツン……コツン……

隠れても無駄なんだ。例え何処に隠れても、

あのひとは迷いなく一直線に向かって来る…。

袋小路にならないよう逃げていたため、この奥ばった通路も、

さらに奥にはベランダ(?)へと通じる扉があります。

その扉から友人を連れて外に出ました。

再び日の光のもとへと出ても、何も変わらない…。

こんなに昼間が怖いなんて…。誰かこの恐怖をわかって下さい…。


夜書くのが怖いから一応お昼に書いてますが、キーボードを打つ手がまだ震えてます。


ベランダに出てしばらく、きっと十何分と経った頃、友人がボソッと言いました。

「どうしよ、トイレ行きたくなっちゃった…」

あぁ、このタイミングで…。

このタイミングで…行き止まりのある空間に行くのは非常にマズイ。

「なんとか、その…その辺で出来ない?」

申し訳ないと思いつつ、一応聞いてみる。顔を俯けたまま首を横に振られました。

「どうしても…?」

しつこく聞きます。頷かれてしまいました。

覚悟を決めて、さっき通ったばかりの扉の窓から、建物の中を伺います。

…いない。

昔からよく来ていたショッピングセンターなので、

だいたいの感覚でトイレの場所はわかります。

地図を見たり迷ったりしている暇はありません。

友人に合図を送って、きっと意味の無い忍び足で、また建物の中へと潜入しました。

曲がり角曲がり角で気を配り、私が先導して気配を探ります。

…いない。

足音もしない。

これなら、いける…!

私と友人はトイレへと辿り着きました。

一応最後に、入られるところを見られていないか、周りを見渡します。

誰の視線も感じない。

意を決して、2人でトイレへと入りました。

「なるべく早くしてね」と、私は友人を個室へと促します。

「ここで待ってるから」と言って私は、洗面台の少し奥で壁にもたれかかりました。

自然に耳をそばだてます、今にも足音が聞こえてきそうで…。

とても静かです。怖いくらいに。

その…………友人の音しか、聞こえません。

あぁ、このまま何事も起こらないでいて…。


ふと視界の上の方に黒い影が見えた気がしました…。

正面にある個室の扉の向こう…、

その上部の隙間から、にょっきりと生えた黒い胸像…。

やだやだやだやだ…

やめてやめてやめて…

このパターンは…

このタイプの落ちだけは…私が昔から絶対に体験したくなかったやつだ…。

よせばいいのに、バカな私はそれを見てしまった。

だって、それが見間違いだと確かめて安心したかったんですよ、その時の私は。

しかし私の期待はことごとく裏切られました。


帽子をかぶり、長い髪をして、顔だけ異様に白い『そのひと』は、

天井にほど近い、そのあり得ない高さから、

真っ黒に窪んだ何もない両目でこっちを見据えていました。

そして真っ赤な口紅を塗った口で、ニタ――っと笑ったのです。


「あああああああああああああああああああああああああ」

「あああああああああああああああああああああああああ」


気づけば私はその顔を見つめながら泣き叫んでいました。

何度も。何度も。

そして個室から友人が慌てて出てきました。

私が見ている方を見た彼女も泣き叫びました。一緒になって。

何度も。何度も。

気づけばその場に2人して座り込み、抱き合って泣いていました。

泣き叫んでいた間のことは覚えていません。もうそのひともいませんでした。

ただその時は、誰もいなかったはずのトイレに人だかりができていたのと、

警備員さん(何故か警察かと記憶してましたが

今思うと警備員さんですねw)と店員さんが私たちに必死に話しかけていたのとで、

わけがわからず混乱しながらも、

生きた人々に介抱されていたことにただただ安心するばかりでした。


結果的にいえば、私たちはもうその噂を探ったりはしていませんし、

あれから何日か経って、そのひとを見ることも(今のところはまだ)無いです。

ひょっとしたら、あのひとなりの「私に近づくな」という警告だったのかもしれません。


ただ私たちに言えることは、

面白半分で都市伝説や噂を探らないこと…。

そして私も友人も、もうあのショッピングセンターには

恥ずかしくて行けないことですねw

あー怖かった。

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青白い手
2009年2月13日/投稿者:アツキ

私の住んでいる一軒家で起こった

おかしな現象の一つを記させていただきます。

これは私が小学生時代に実際に体験した話です。

その時は確か小学六年の冬頃だったと思います。

一軒家に住んでいた私は、夜リビングで家族団らんをしている時、

いつも両親に見たいTVの時にニュースにかえられて怒っていました。

それは年の近い姉も同じだったようで、

何時からかその時間帯は二人で

二階のTVが設けられた部屋で見るようになりました。

私のその住んでいる家は元々何かおかしな現象が起こる家でした。

小学三年生の頃に私は両親と寝ている時に金縛りに遭った経験があり、

霊感の強い母親も時折金縛りに遭うともらしていました。

けれど、これと言って害になるようなことは起こらず

驚く程度のことが起こるだけでした。



なので私は油断していたのかもしれません。

その、姉と一緒に居たその部屋が

一番おかしな現象が起こる確率が高かったと言うことを。



見たい番組が終わり、

見慣れたCMが流れ出すのと同時に姉がトイレに言ってくると言って

ソファから立ち上がり部屋を出て行きました。

姉は部屋のドアを閉めずに、

そのまま電気もつけずに暗い廊下を歩いていきました。

ドアを閉めていけ、と廊下に消えた姉に

叫んだもののごめんと言う誠意の欠片も感じない言葉を返されただけでした。

私はソファから立ち上がるのも面倒臭く、

僅かに開いたドアをそのままにTVを眺めました。

節電のために部屋の明かりもつけていないそこは、

TVだけが光源の頼りない明かりだけで照らされていました。


一人部屋に残されてつまらないCMを見ていると、

ふと以前この部屋でおかしな体験をしたことを思い出しました。

昼間に一人でこの部屋に居た時、

いきなりソファの後ろにある寝室とをさえぎるための

引き戸が大きな音を立てて開いた音がしました。

いきなりのことで驚いた私はてっきり姉の仕業だと思って、振り向きました。

が、その引き戸は開けられておらず、

隙間も出来ていませんでした。

それによくよく考えると、

姉は友人と外に遊びに言っていることを思い出しました。

大きな音を立てて引き戸を開けるなんて、

そんな悪戯を両親がするとは思えず、

その後は怖くなり時間つぶしに見ていたTVを消して

慌てて一階へと駆け下りたのを覚えています。

思い出すのと同時に私は何故か凄く怖くなり、

嫌な予感がしました。


ちらりと暗い廊下へと続く道を僅かに覗かせるそこを見ると、

とてつもない恐怖に駆られました。

閉めれば問題ない、と思ったのですが

私は何故かとても怖くてソファから動くことが出来ませんでした。

怖い気持ちに比例するかのように、

私の頭の中では嫌な想像が幾つも思い浮かんできました。

そんなことになると、TVなど見ていられず

ますますその僅かに開いたドアから視線を離す事が出来なくなっていました。

そんなときでした。



――ぬっ



と、人の物とは思えないほど青白い色をした肌の左手が、

ドアの後ろから現れて手首を折り曲げドアノブの下あたりに張り付きました。

私は確かに恐怖したのですが、

あまりに非現実過ぎて

正直どう対応していいのかわらなかったのか、

映画やホラー特集などのTV内でしか見たことのないような

その青白い手を見て感動していました。

「このまま黙っていれば、姉にもこの手を見せれるかもしれない」

何故か声を出さなかったら、

あの手は消えないという不思議な自信にとらわれながら

私はじっとその手を眺めていました。

すると、じっとドアノブの下に張り付くようにして置かれていたその手は

不意に何かを探すかのように動き出しました。

その様子を見て直ぐに、私は直感的に

「あぁ、あの手はこのドアを開けようとしている。
ドアを開けて、此処に来ようとしてる」

と思い至りました。

何故そう思ったのかは今でも謎です。

ですがその時の私はそうだと思い込んで、

此処に誰かが居ると示せばきっと入ってこないと思いました。

少々の好奇心と、恐怖心に駆られながら、

半信半疑といったようにドアに恐る恐る声をかけました。

「お姉ちゃん……? お姉ちゃん、そんなことして何してるの?」

絶対に姉ではないと思いながらも、

助けを求めたかったのか私は無意識に姉の名前を呼びました。

すると、せわしなく動いていたその手はぴたりと動きを止めました。

動かなくなったその手がまた怖くて、

私は何度か同じ事を繰り返しそのドアに向かって言いました。

じっと動かなくなったその手を眺めていると、

その手は暗闇にじわじわと溶けるようにして私の視界から消えました。

本当に、溶けるように、霞むようにして消えたんです!

自分でも正直それが今でも信じられません。

その手が消えて直ぐ、消えたその手があった場所を眺めていると、

トイレから水を流す音が聞こえてきました。

「やっぱりあれは姉ではなったか」

と確認させられると同時に、私は冬だと言うのに冷や汗をどっと掻きました。

もしも、直感的にそう思ったことがあたっていたとして、

何も言わないままだったら

私はどうなっていたのだろうかと少し怖くなりました。

なにはともあれ、今日も私はその家で暮らしてます。

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ノック
2008年11月11日/投稿者:宴流ナダミ

これは、ある一人の女性のお話です。

朝7時、仕事が休みだった私は、未だに自分の部屋で寝ていました。

もちろん玄関は閉め、窓もカーテンも閉めたままで、服も着替えていません。

すると突然、 トントン とドアをノックする音が聞こえるのです。

最初は夢の中のことだと思っていました。

しかし、しだいに音は二回目、三回目とだんだん大きくなっていきました。

私は、マンションで一人暮らしをしていました。

さすがに不審に思った私は、起き上がってドアを開けてみました。

しかし、誰もいません。

その時は、ただ単に寝ぼけていただけだと思って、

何事もなかったかのように一日を過ごしてしまいました。

でも本当は、そこからが恐怖の始まりだったのです。

二日目。その日は雨が振っていました。

私は夜遅く、10時ぐらいに仕事から帰ってきました。

雨にぬれているにもかかわらず、

私は風呂にも入らずに疲れてベッドに倒れこみました。

するとどうでしょう。

また、トントントンッとノックする音が聞こえるのです。

はっきりと聞こえるそのノックの音に驚いて、

私は昨日の朝の出来事を思い出しました。


――もしかして、昨日のノックと同じじゃないか?


私は、もしものために傍にあった本を片手に、ゆっくりドアを開けました。

しかし、当たり前のように、そこには影ひとつありません。

確かに、ノックの音は聞こえたはずでした。

でもやはり、何か違う音と聞き間違えたのかもしれない。

そう思い直そうと、ふと床を見つめた時でした。


水滴。

 
まるでそこに人がいたかのように、

ポツンポツン、と水滴の痕が残っているのです。

ぞっとしました。 
 
――でも、私の落とした水滴かもしれない……。

私だって雨にぬれているのだから。

私は、少しばかり気になったものの、

今日あったことは忘れようと自分に言い聞かせました。

もっとプラス思考に考えていこうと……。


三日目。今日は仕事は休みで、

外にも出ないで私は一日中ゴロゴロしていました。

すると午後7時ごろ、今度は玄関からノックする音が聞こえるのです。

その音を聞いたとたん、背筋が寒くなるのが分かりました。

でも、昨日あったことは何もかも忘れようと決めていた私は、

ノックの音を無視してテレビに集中しました。


――次第にノックの音は強くなっていきます。
  

トントン…トントン、トントンッ、トントンッ!!

 
確実に大きくなっていくその音は、まるで脅しているようでした。

さすがにここまで大きくなれば無視するわけにもいかず、

私はドアに向かいました。

やはり念のために、台所から大き目の水筒を持って。

ピタッとドアに張り付いて、水筒を片手に掲げました。

そして勢いよくドアを振り開けました。


当たり前のように、誰もいません。


恐怖半分安心半分で、私は水筒をその場に落としてしまいました。

そして大きなため息をついて、

開けっぱなしだったドアを閉めようと手を伸ばしたその時――


トン…トン…トンッ……


誰もいない玄関口で、響くノックの音。

時間が止まったかのように感じたその瞬間、

私は恐怖で声も上げずに電話口へと走りました。

――警察、警察、警察!!

頭は完全に混乱し、ただすがるように受話器を持って、

110番に連絡を入れました。

恐怖のあまり閉め忘れた開きっぱなしの玄関からは、

未だにノックをする音だけ響いてきます。


「いやっ、やめてやめてやめてやめてええええぇぇ!!」


私は悲鳴を上げると受話器を玄関に向かって投げつけ、

自分の部屋へと逃げ込みました。

鍵をしっかりとかけ、布団の中にもぐりこみ、息を整えました。

さすがにここからはノックの音は聞こえません。

ひと段落ついたと思った私は、ベッドから這うように出てきて、

部屋の鍵を開け、そっと開けた隙間から様子を見ました。

誰もいないし、何も聞こえません。

私は肩で大きく息をついて、ほっと笑みを作ると、やっと安心しました。
 
すると、何か後ろで気配を感じました。

驚いてはっとして後ろを振り向いたものの、誰もいません。

でも、確実に気配はするのです。
 
フッと風が、耳元で吹きました。

和らいでいた表情が一瞬のうちに硬く恐怖に引きつりました。

そして聞こえたのです。


「ねえ、どうして無視したの?」


と……。


ほら、今貴方の家のドアからも、ノックの音が聞こえなかった?

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台所
2008年10月30日/投稿者:エイト

私が小学生の頃です。

自宅で、台所に誰もいないはずなのに電気がついていました。

だから、私は廊下にあるスイッチを消して、

自分の部屋へ行こうとしました。

そうすると、直後聞こえました。


「何でそんなことするの?」


私は、台所に誰かいたのだなと思いながらも

自分の部屋へ行ってしまいました。

疑う気持ちがなかったからです。

中にいる人がつけるだろうと。

次の日、私は家族が揃ったとき、

「きのう台所に誰かいたのに、電気消してごめんね」と謝りました。

ところが、みんなで話し合った結果、

その時間に台所にいた人はいませんでした。

今もその家に暮らしていますが、特に何も起きていません。

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最後の言葉
2008年9月28日/投稿者:Emily

これはあたしが高校一年生の時の体験談です。

駄文なので、分かりにくかったらごめんなさい。

・・・貴方はこんな話、信じてくれますか?


あたしは高一の五月、部活で知り合った男の子と付き合い始めました。

仮にその子をR君としましょう。

R君は、以前付き合ってた子よりも気が利き、

真面目で優しい子でしたが、あたしの第一印象はそんなものではありませんでした。


この子、普通の子じゃない。


元々霊感があり、そういう物に対する直感が優れていたあたし。

それでもその時はあまり気にせず、

お互い気持ちが一緒だったという事でお付き合いを始めました。

最初の異変に気がついたのは、付き合ってから一週間後くらいでした。

教室、廊下、家・・・

どこにいても時々、真っ黒い人が見えるようになったのです。

あたしにしか見えないらしく、R君と一緒に下校している時でも、

あたしの横にその黒い人は立っていました。

特別何をする訳でもないので放っておいたのですが、

それから家に知らない女性が現れるようになったりと、

例を挙げればきりがないほどの不可思議な現象が起こり始めたのでした。

それからと言うもの、あたしは体調を崩しやすくなり、

怪我もしやすくなりました。

元々持っていた紫外線アレルギーも酷くなり、

原因不明の耳の病気にかかり、今でも徐々に聴覚を失いつつあります。

「やっぱり、最初感じた異変は気のせいじゃなかったんじゃ・・・」と思い、

あたしはR君の幼馴染で霊感のかなり強い知り合いにその話をしました。

彼は話を聞くなり、あたしにこう言いました。

「別れろ、このままじゃヤバい事になる。
Rは昔から霊を引き寄せやすい体質なんだよ。
霊感のあるお前とじゃそのうち対立するぞ。あいつが呑まれる前に別れるべきだ。」

うすうす感づいてはいたんですが、

どうしても別れる気にはなれず、あたしはそのままR君と付き合い続けました。

それから二月ほど過ぎました。

あたしはR君に話しかけなくなりました。

・・・R君が別人のようになってしまったからです。

表情、仕草、話し方、全てがR君なのに、

あたしの感じる雰囲気がR君ではなくなったのです。

そして、あたし達はだんだん、周りに驚かれるほど不仲になっていきました。

そして、付き合ってから四か月後、あたしはR君と別れました。

あまりの人格の豹変っぷりに怖くなり、耐えられなくなったのです。

しかしそれからも異変が続きました。

病気も悪化し、あたしとR君が関わっていた人間関係も悪くなり、

相変わらず黒い人もバッチリ見えるままなので、

またその霊感の強い知り合いを訪ねました。

「まあ、正解なんじゃないかな。でもさ、この際だからハッキリ言わせて貰うよ。」

彼はあたしの目を見てこう言いました。


「今のお前から、Rとまったく同じものを感じる。
お前、あいつから変なもの貰ってきたかもな・・・。」


あたしはその言葉を聞いて、ゾッとするような事を思い出しました。

R君は分かれる際、あたしに笑顔でこう言ったのでした。



「お前さ、俺に似てきたよね!」

と・・・・・・。


今、別人になってしまったR君がどうしているのかあたしは知りません。

そして、あれ以来あたしは自分が怖くて誰ともお付き合いをしていません。

だって今でも横に、あの黒い影が立っているんですから・・・

当時高校生だったあたしが体験した、

ウソみたいなホントの話・・・・・・

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クリスマスの夜に
2008年9月20日/投稿者:ゆみこ

これは、私が友達から聞いた話です。


仮に…A君とします。

A君は、将来翻訳家を目指していて、

いつか外国に行ってみたいと強く望んでいました。

が、当時のA君はまだ高校生だったため、

なかなかチャンスは巡ってこなかったんですね。

やはり、無難に会社員になろうかなぁ、と思っていた矢先でした。


彼のもとに米国へのホームステイのチラシが送られてきたのは。


A君は必死になって、両親に参加したいと訴えました。

あまりにも熱心なA君に、

はじめは「お金がかかる」と反対していた両親も折れて、渋々承諾しました。

A君はとても喜びました。

いよいよホームステイが始まる12月中旬

(A君の学校では冬休みでした)がきて、

A君は大きな荷物を抱えて米国へと旅立ちました。

ホームステイ先の一家は、とても明るく友好的でA君を快く迎え入れてくれました。

また、A君も得意の英語を活かし、

ホームステイ先の家族とは仲良くしていました。


ホームステイしてから数日がたち、米国にとって大イベントのクリスマスが来ました。


A君は友達と一緒に日本で言う

公民館のような場所で行われているパーティーへ、

A君を預かっている家族は家内でひっそりと祝うことになりました。


深夜0時を過ぎたあたりにようやくパーティーが終わり、A君は急いで帰ります。


雪が降り積もった、とても寒い時刻でした。


やっとの思いで家につき、リビングに行きましたがだれもいなく

二階も人の気配がしません。


家の離れにある小屋にいるのかなぁ、と思ったA君は

急ぎ足で小屋に向かいましたが、

誰もいません。


そこで、なぜか寒気がしました。


クリスマスパーティーの時にした、怖い話を思い出したせいでしょうか。

惨殺された家族の例が、今でも夜な夜な町を徘徊している…

恐怖がピークに達した、その時。



後ろに、誰か居るような気がした。



A君は近くにあったノコギリで、後ろにいる何かをめいっぱい叩きました。


白い布をかぶった何かが、薄暗い中で蠢きます。


A君は、何かにとりつかれたようにノコギリでガンガン叩く。


いつしかソレは動かなくなり、

ただ血の池の中でうずくまっているだけになってしまいました。

A君はそっと白い布を取りました。







それは、A君にとても良くしてくれていたおばさんでした。

顔は原型をとどめてはいませんでしかが、服で分かります。

近くには、「Aへ」と

ヘタな日本語で書かれたクリスマスプレゼントらしき箱が転がっていました。

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首と地蔵
2008年9月1日/投稿者:清衡

僕とA華、N雄、K美は近所に住む同級生で、

いわば幼なじみ、親友でした。

A華…所謂「見える」子。あまり喋らない。

N雄…お金持ちの家の子。

今回の旅行で借りる宿は彼の叔父さんの別荘。

K美…彼女が今回の旅行を計画した。


高校一年生の冬、僕たちはどこか旅行しようということになり、

K美の希望で某観光名所の山へと3泊4日を予定して向かった。

宿はN雄の叔父さんの所有する山奥の別荘を借りることになっており、

その叔父さんにご挨拶しに行ったところ、

叔父さんは訝しげな顔で

「まぁ1週間以内に出れば大丈夫だと思うけど…気を付けてね」と、

最初は雪の事を心配してくれていたのかと思っていたが、

これが事の始まりだった――


到着した別荘は木造で思ったより古く、

都会では見られないこの地方特有の雪に強い建物だった。

窓の外には―― お地蔵さんが6体。

その日は疲れたので何かをすることもなく早々、床に就いた。





2日目の朝、早くも異変が。

リビングへ出た僕とN雄にK美が

「ねぇねぇ、そっちの部屋…昨日寝てる間に、声、聞こえなかった?」

は?という顔をする僕とN雄をよそにK美は続ける

「なんか子供の声がして…

『御首一つもーらった、明日は二つ目もーらーう』って…」

「え…」

ふと思い窓の外を見るとお地蔵さんの首が1つ――


――ない。


ひっと怯えるK美をN雄に任せ僕はお地蔵さんを調べる。


屋内から見て一番右の、

切り口の綺麗な首のないお地蔵さんを一瞥し、

罰当たりかなと思いながらも他の6体を触ってみた。

すると何のことはない、他6体も「首が取れる」ようになっていた。

N雄はただのいたずらだよとK美を慰め、朝食を取った。

その間A華は終始無言だったが。

気を取り直したK美は観光を楽しんでいたみたいで、ひとまずは安心した。


しかし、その2日目の夜も例の怪現象は起こった。

勿論窓の外のお地蔵さんもセットで。

『御首二つもーらった、明日は三つ目もーらーう』

K美が聞こえたと言った時刻、僕は起きていたが僕の部屋では聞こえなかった。

微妙に沈んだテンションの中、3日目の観光も終えた。

その日の夕方に別荘で、今まで全然喋らなかったA華が口を開いた。

「外に…お地蔵様の前で子供が遊んでる―」

彼女の話では、僕らが来たときからずっと、

お地蔵様の前の庭で和服の男の子が2人、

少し短い刀のようなものを振り回して遊んでいたのが見えたそうだ。


「ただ――」


「――首がないの。一人だけ。」





翌日。帰る予定の日だったが―― 

突然の豪雪。帰るに帰れない。

この雪は3日も続いた。そして6日目の深夜。悲鳴に起こされダイニングへ。

『御首六つもーらった、明日ハオマエノクービーダ』

子供の声がそう言ったとK美は泣きながら話した。

背筋がゾッとするのを肌に感じながら眠れない夜を過ごした。





7日目。ようやく晴れた。

これで帰れると思った僕たちに叔父さんから一本の電話が。

「昨日までの雪で道がふさがって…通れるようになるのは明日になりそうなんだ…」

叔父さんの声は震えていた。こっちまでなお不安になる。

電話を切り、事を話すとK美の顔はみるみる青くなり、

具合が悪いと言い、部屋へ戻った。

僕とN雄が心配する中、A華が

「雪だるまを一つ作ってくれない?K美は私が面倒みるから」

理由も何となくわかる。1時間かけ、お地蔵様に似せた感じの雪だるまを作った。

結果から言うと、この作戦はうまくいった。

安堵の表情を浮かべるK美。

叔父さんは僕たちの無事な姿を見て涙し、

「ごめんね、ごめんね」と謝っていた。

そして僕たちは重たいお土産と体験を抱えて帰路についた。





それからしばらくして、

N雄のおじさんが火事で自宅を失った為に、

例の別荘で暮らすことになり、行方不明になったと聞いた。


そして旅行から1年後の春休み―― 

A華がどうしても気になるからもう一度行きたいと言い出した。

そこにはかの別荘は既に無く、首のある7体のお地蔵さんと、

何者かに植えられたと思しき―

まだ大きくないが、赤い花の咲くいくつかの木だけがあった。


N雄は満足した顔で、A華は複雑な顔で――

帰りの新幹線の中、N雄が切り出した。

「それにしてもよかったな。あの桜、全然綺麗に咲いてなくて。」

するとA華はハッキリと答えた。

「何言ってるの?あれは桜じゃなくて梅。」

何だか否定的なA華に対して僕も言う。

「でも赤い梅の花って幸せを呼ぶとか聞いたことあるけど?」

するとA華は素っ気ない顔をし、小さい声で

「…誰の幸せを呼んだのかしらね…」

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犬の散歩をした女
2008年9月1日/投稿者:wing

これは実際私が体験した話ではなく、友人から聞いた話です。

自分は友人になった気分で書いていきます。

あれは、夏。

蒸し暑く汗をタオルで拭いても拭ききれないほど暑い日の事でした。

私の日課はいつも夜9時に

家の近くの土手でジョギングをする事でした。

そしてジョギングをしているといつも犬の散歩をしている女性に合います。

その女性とは挨拶を交わす程度で、

これといって深い仲ではありません。


そんなある日、私はいつもどうり夜9時にジョギングに出かけたのですが

今日は犬の散歩をしている女性がいませんでした。

私は「犬の散歩を1日ぐらいしないのは当然か。。」

私はそう軽い感じで考えてました。。。。


しかし2日、3日とまったくあの女性と合わなくなりました。

いつも合ってた時は何とも思いませんでしたけど、

会えなくなると寂しいもので、

いつしかあの女性の存在は自分の日常の中に溶け込んでました。。


そして1カ月たってもいっこうに会えなかったので、

自分で探すことにしました。

近所の人の話に寄るとあの女性は一人暮らしで、

マンションに住んでいたそうです。

マンションの管理人にも話を聞いてみたところ、

その女性の愛犬は家に居たのですが

女性は家に帰っておらず、その女性の親が

警察に捜索してもらってる最中らしいのです。


私はその話を聞いて

「やっぱ諦めるか。。」

もう時間は夕方の5時過ぎ。。。。

空は茜色に奇麗に染まっていました。

私は家に帰ろうといつものジョギングコースの土手をとぼとぼと歩いてました。

そしたら、ふと前方の人影に目が留まりました。

そうです、自分が探していた犬の散歩をしている女性でした。

自分は「今まで何所に居たの?」と声をかけたかったのですが、

なぜか少し恥ずかしく、

いつもどうりの挨拶を交わして終わってしまいました。


次の日、やはりあの女性は今まで何所に居たのか気になったので

女性の住んでるマンションに行きました。

しかし私に待っていたのは驚愕の事実でした。

なんと女性は1ヶ月前に自殺をしていて、

昨日やっと見つかったそんなんです。

女性は川に飛び込み自殺をしたそうで、

川に流されなかなか見つからなかったそうなんです。

私はふと疑問が起きました。

じゃー昨日会った女性は誰だったんだ?

考えれば考えるほど怖くなり、

私はそれからというもののあの女性のことは考えないことにしました。

しかしジョギングをしているとふと思い出すのです。。。

あの女性のことを。。。。。。

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無数の顔が
2008年8月30日/投稿者:nagi

僕には幼い頃から、霊感というものがあります。

そのせいで幾度もの恐怖体験を味わってきました。

これから僕が書くことは本当にあった事で、

興味本位にこの場所を探さないで欲しいのです。

何があっても責任は負えません。

あれは僕が、近所のお兄さん達心霊スポット巡りをしていた最中でした。

当時F県では心霊スポットを探すという企画が巷ではやっており、

僕らもその一人でした。

もちろん僕は「そう簡単に見つかるわけないだろう」

そんな気持ちで協力していました。


出ると言われている「犬●峠」を過ぎて坂を上る最中のことです。


突如無機質な建物が僕の眼に映り、

僕はお兄さん達に告げました。「何かある」と。

その後、建物を目印に車でみちなき道を登り、その建物を見つけました。

廃病院・・・・

いやそれ以上に廃れた、まるで牢獄のような建物・・・・・・。






「中に入ろうか」





その言葉を合図に一斉に車を降りた時でした。






「ぁぁぁぁぁ・・・・ぁぁ・・ぁぁ」





響くような声がしました。

もちろんお兄さん達は気づいていません。

彼らは我先にと入っていこうとするのです。

瞬間的に僕は叫びました。


「行っちゃ駄目だ!!!」


静かな山に僕の声だけが響きわたりました。

お兄さん達は吃驚した様子で僕を見て、

「ビビッタか?」と聞き返しました。





そう言ってその建物を見上げました・・・・・




「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」




此処から僕の記憶は曖昧です。

とにかく怖い思いしかありません。

誰にも話そうと思いません。

あの時僕らが見たもの・・・・・・・・







それは無数の顔でした。






顔というにもおかしいくらい歪んだ・・・・

はっきりと建物中に青く暗い歪んだ顔が・・・・・





あれからもう一度その場所を調べてみました。

でも建物など何処にもないのです。

その峠は季節によって見える場所が異なるそうです。



もし・・・・・見かけてしまっても近づかない事を願います。

きっと帰って来れないはずです。

あれは・・・・・あれは、怨念そのものの様なとても恐ろしい場所でした。

あれは一体なんだったのでしょうか。

今になっては知りたくもありませんが・・・・・

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黒いランドセル
2008年8月26日/投稿者:吉原

私の友人Tは、もともと霊感持ちで

よくそのような事に出くわすのだそうです。

この話は、Tが小学5・6年生だった頃の体験談です。


当時、Tは放送委員を担当していたため、学校行事の

写真や動画を撮る作業を任されていました。


もうじき運動会、というある時。

Tと、同じ委員会のKの二人は、カメラの扱いに慣れるため

放課後の応援団の練習を校舎から撮影していました。

Tは別の撮影ポイントを探そうと、Kと別行動で

校舎内をうろうろしていたそうです。



社会科資料室の前を通った時でした。



「―――あれ? 開いてる」

普段は鍵がかけられている社会科資料室の扉が

全開に開いているのです。

中に先生か誰かいるのだろうか?

Tはそこを素通りしようとしたそうなんですが、

その時―――、




社会科資料室の中を、素早く誰かが横切りました。




一瞬でよく見えなかったそうなんですが、確かにそれは

「黒いランドセルと黄色い帽子を身につけた小さな子」

だったそうです。

高学年として注意しなければいけないと

Tは資料室を覗き込み、

その子が過ぎて行った方をみながら、








「おーい、ここは勝手に入っちゃあ―――、」








………誰も、いない。








そして資料室の中は、大きな地球儀や世界地図などで

埋め尽くされており、人が横切れるほどの空間など

まったくありません。

もちろん、誰かが隠れられそうな空間もありません。


「―――………なんで?」


Tは一気に血の気が引き

よくわからぬうちに逃げ出していました。

必死に資料室から離れようとひたすらに走り、知らぬうちに

自分のクラスの教室に辿り着いたそうです。

見知った教室に安心したTは、とりあえず窓辺から

グラウンドの応援団の撮影を始めました。

そのうちカメラを机に置き

ぼんやりとグラウンドを眺めていると、







―――さっきから、異様に窓がガタガタと揺れている。







風がよほど強いんだろうか……?



ふと、グラウンドに再び目を向けると、






応援団の持っている大きな旗。

全くはためいていません。







がたっ、がたがたっ、がたがたがたっ、







―――風、吹いてないの?




そう解った途端、Tは弾かれたように窓から離れ、

掃除用具ロッカーの影に隠れました。

―――この時点で、TはKのところに戻ればよかったと

激しく後悔することになります。







きゅっ、きゅっ、きゅっ、







扉の向こう。

廊下から、上履きが床をこするような

音が聞こえてきたのです。

Tは「だれかがきてくれた!」と思い、

安心して扉を開けようとしました。






………が、







きゅっ、きゅっ、きゅっ、きゅっ、きゅっ、きゅっ、










―――様子がおかしい。

いつまでたっても、その音は止むことなく

教室の扉の前にとどまっているのです。



まるで、そこで足踏みをし続けているかのような。





―――これは、人間じゃない。





いよいよ逃げ道が無くなり、Tは必死に扉が開かないよう

押さえつけました。

そこでTは力を入れるため、無意識に曇りガラスの窓に

頬をくっつけて―――、


見てしまったのです。


目の前、曇りガラスの向こう。





黄色い帽子を被った、背の低い男の子の、






―――生気のない顔を。





がたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがた、










きゅっ、きゅっ、

きゅっ、きゅっ、きゅっ、きゅっ、

きゅっ、きゅっ、きゅっ、きゅっ、きゅっ、きゅっ、








後ろには無風で揺れる窓。


目の前には、得体の知れない足音。


必死に、今この時が過ぎ去ることを祈りながら

Tは扉を押さえつけ、しゃがみこんでいました。



―――と、



「Tちゃーん? こっち撮影おわ、…ったけど」




Tがしがみついているのとは反対にある扉から

自分の仕事を終えたKが顔を覗かせていました。



「………K〜、怖かったよぉ〜〜〜!!!」




あまりの安堵感に、Tは泣き出してしまったそうです。





「………ところでさ、この扉の向こう、」





「―――黒ランドセルと安全帽があったけど、誰の?」

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自分宛のメール
2008年8月9日/投稿者:wing

これは実際私が体験した話です。

私はよくPCゲー(主に18禁の恋愛もの)をやります。

その関係で夜遅くまで起きてる事がたびたびあります。


その日は3時まで起きていました。

「3時って幽霊がよく出るんだよな〜」

そう思った私は「もう寝るかと!」

と思い布団の中に入りました。


なにか音が聞こえるのです。。。。


自分一人しかいない部屋なのに

よく耳を澄まして聴いてみると。。





キーボードをたたく音が聞こえるのです。。。。。。





私は「だれがキーボードを打っているんだ?」と気になりましたが、

怖いと思う感情が強くて布団の中に潜り込んで朝を迎えました。

それから大体1週間がたったころでしょうか?

その1週間の間何も起きなかったので、もうあのことは忘れてました。

その日もいつもと同じようにPCゲーをやってました。

PCゲーの途中選択肢が出てきて迷った私は

「ネットで検索するか」と思い、インターネットを開けました。

そしたら新着メールが届いてたので、

「誰からだろう?」

そう思ってメールを見ようとした私は驚きました。

なぜなら、自分宛で自分にメールが来ていたからです。

自分はそんな事した覚えがないのですが、

恐る恐るそのメールを開けてみると、

どこかのURLが書いてありました。

「どこのURLだ?」そう思った私は、

見てみたいという好奇心でURLをクリックしてみました。






すると「ページが表示されました」と書いてあるのに

全部真っ黒のサイトに飛びました。



「なんだただの悪戯か〜」

そう思った私はそのページを消そうと

思い×のアイコンにクリックしようと思ったら、

自分の背後から聞こえるのです。。。





「消すな。。。。」





その声はだんだん自分の近くまで聞こえてきて



「消すな!!!!!」



その声を聞いた私はあまりの恐さで気絶してしまいました。。





それ以降

自分の身の回りで不思議なことは起きなかったのですが、

今でもあのことは忘れられません。

あのときを振り返ると。。

断定はできませんが、たしか女の人の声だったような気がします。

それになぜかあのメールは次の日には消えていたし、

履歴を見てもあのサイトにいった形跡がありませんでした。


あなたも注意してください。。。

自分宛に自分からメールが来た時は。。。。。

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炎が向かう場所
2008年6月1日/投稿者:からす

こっくりさん、

こっくりさん、

居ましたらおいでませ、

こっくりさん、

こっくりさん・・・。




何年か前に流行った。

そう、母から聞いている。

その「こっくりさん」を興味本位でやってみたことがある。

古いホラーマンガに載っていた「やり方」。

しっかりと覚え、十円玉を持って、友達と約束して。

今更思うのは、それが「やってはいけない」遊びだったということ。

私たちはわざわざ、和人形の置いてある部屋を選んで、そこで紙を広げた。

鳥居のマークの上に、銅色の小銭を一つ置く。

友達は自称ながらも、一応霊感があるそうだ。

その友達と共に小銭の上に指を置く。


一本目。


二本目。


三本目。


整えられた指先が、しっかりと十円玉の上に乗る。

「ねえ、誰が言うの?」

私は友達に、問うてみた。

「そんなの、言い出しっぺに決まってるじゃん」

「じゃあ、私が言うの?」

「当然だよ」

渋々―実を言うと内心、それを楽しみにしていた―私は

例の言葉を唱える。

「こっくりさん、こっくりさん、居ましたらおいでませ。こっくりさん―」

十円玉はピクリとも動かない。

なんだ、やっぱり居ないのか。

三人でため息を一つ零して、みんなで指を離す。

「来なかったね」

言って、私たちは別の部屋に移る。

正直がっかりだった。

落胆の色は全員の顔から見て取れる。

ふと思い出す。

紙を、小銭を、部屋に忘れていたことを。

慌てて取りに行く。


部屋に入る。

私の足音が響く。

ふと見つめる。

何を。


白い、炎を。


炎と言うには大げさだ。

白い、もやのようなものが目に映る。

ふわりふわり、と宙を泳ぎ、漂い、天井へと向かう。

天井まで向かって、すっと消えていった。

ああ、見てしまった。

ぞっとした。

背中からじんわりと汗が溢れる。

私は急いで皆の所へ戻り、出たんだ、と告げて三人で再びその部屋に戻る。

誰も、何が、とは問わなかった。

私の表情があまりにも真剣だったからだろう。

部屋に入る。

テーブルの上に乗る、紙と小銭。

部屋の隅々を眺める。

ドラマとかの展開なら、ここで結局何もなく、

主人公だけに見える、なんてのがお決まりだが、

案の定、その通りだった。


何もない。


そして頭がおかしいのは私の方になる。

何度、見た、と言っても信じてくれるわけもなく、

その日はそれで終わってしまった。

そしてその日から、私が悪夢を見るようになるのは、また別の話。

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静の夜・動の子供
2008年5月25日/投稿者:からす

別に私は勉強が好きだ、という訳ではない。

ただ、夜は妙に目が冴えて、眠れないだけなのだ。

だからこの日も、夜遅くまで漫画を読み、音楽を聴き、

絵を描いて無駄に時間を過ごしていた。

朝になって後悔するのも毎度のこと。

私の部屋の勉強机の隣は、窓だ。

ぼんやりとカーテンを捲って外を見る。

もう真っ暗で、どの家の電気も消えている。

猫の鳴き声も聞こえない。

時折車が走る程度だ。

きっと親も寝ているだろう。

すっかり「静」に包まれた私の周りの空気。

街頭が申し訳なさそうに照らす道路にも、なんとなくいつもの感じが見られない。




―さて、寝ようか。

そう思ってイヤホンを外す。

音楽が遠ざかって行くのが分かった。

そのまま布団に入る。

意外にも自分が睡魔に襲われていたことに気付き、案外すんなりと眠れた。








―今、何時だろう。








妙な音が聞こえて目が覚める。

―五月蠅いな。

この部屋には私しか居ない。

隣の部屋の弟も今は寝静まっているし、

親の寝息すら聞こえないこの部屋で、とんでもなく音がするのだ。

音?

音ではない。

「声」だ。





なんの声かはすぐ分かった。





―……子供?





二人くらいだろうか。

部屋中を走り回る音。

きらきらと輝く笑い声。

真っ暗の部屋。

一人の私。





確かに声が聞こえるのだ。

間違いではない。





しっかりと聞こえる笑い声。

目を見開く。





部屋の壁が所々赤い。

赤く見えるだけだろうか。それは今になっては分からない。

ただ、体が動かなかったのはよく覚えている。

金縛りだ、と気付くのはいつも後になってからだ。





さらに恐ろしかったのは、自分の胸の上に誰かの頭があったことだ。





・・・頭がある、とは言え、見たわけではなく、感覚的にだ。

髪の感触と柔らかい頬のようなものがあった。




―いけない。




そう思い、私は全身を動かそうとする。

以前にもこんな事があったので、逃げ方は心得ている。

―動かないと、動かないと、動かないと。









体を左へと回転させる。

動きにくい。

重い。

怖い。

―もっと、早く。急いで。









気が付くと体はしっかりと左を向いていた。

声も消えていた。

胸の上には何もない。

ああ、助かったのだ、と安心する。




そのまま目を閉じ、私は特に深く考えず眠り込んでしまった。




何度かこんな事が有るのだが、いつも体験者は私だけだ。

最後に種明かしをするお話が多いが、

私は特に真相を求めないため、夢なのか、現なのか、

結局のところ私にも分からない。

これを読んだあなたの、豊かな想像力にお任せします。

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子供の手
2008年5月10日/投稿者:伽耶

ついこの前あった話です。

私の友達にMちゃんというとても元気な子がいます。

ある日、私が学校に登校すると、

いつもは私のあとにくるMちゃんが教室の電気もつけずに、

自分の机につっぷしていました。

いつものようにパソコンのやりすぎで眠いのかな?

と思いましたが、どうにもその日は違う気がして、

Mちゃんに「おはよー」と声をかけてみたんです。

起きたMちゃんの顔色は、真っ青でした。

どうしたの?と私が言うと、Mちゃんは私の顔をじっとみながら、

「伽耶は、怖いの平気よね・・・?」といいました。

私は、大好きなので、うん!と答えると、

Mちゃんはぽつぽつと今朝あった事を話し始めました。

今日、あたし時計つけてるじゃない。

うん、コレ。今朝、枕元においてあったのよ。

なくしちゃってたと思ったからすごい嬉しかったんだ。

まぁ、電池切れてたんだけど。家でるときに、零時零分にあわせたのよ。

で、お父さんと車にのって、駅についたの。

そしたら、時計が3時まで進んでいたの。

電池復活した?と思ってみたんだけど、一ミリたりともうごかないの。

ま、いっかっておもって、電車のったのね。

それで、怖い話の本よんでたら、

左手が(時計つけている方)がすっごく寒くなってきたの。

死んだおじいちゃんにさわった時みたいに。

なんだろうって思ってみたら、







手だったのよ。






彼女はいったん話をやめ、時計をじぃっと見つめました。



子供の、手。

白い小さな、手。



それが、時間調節のつまみをくるくる廻してたの。

うわっ!って叫んで払いのけたら、消えたんだけどね・・・

Mちゃんは、これでおしまいよ、と話を区切りました。

そして、私を見て、ねぇ、この時計いくらくらいに見える?といいました。

けっこう高そうな時計だったので、三千円くらいかな、と答えました。

Mちゃんは、ニヤリと笑ってこういいました。



「この時計ねぇ、お母さんがリサイクルショップで三百円でかってきたんだぁ・・・」

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仕方ないよね
2007年7月16日/投稿者:A列車の男

私が高校生時代に体験した話です…が……

客観的にみて怖い怖くないは関係なく、ただ何とはなしに、

個人的にとても嫌で、感じの悪い? 気持ちの悪い? そんな話なので、

実はしばらく投稿しようかどうか迷っていました。

(意見が聞ける某ちゃんねる等に投稿という考えもありましたが、

多少ですが苦手ですので、以前のようにまたこちらへ)



前置きが長くなりました。すみません本題です。

前述どおり高校生時代の体験で、確か梅雨入り前の、

雨が降りそうで降らないような微妙な天気の日でした。

私はその時は2年生で、学校の教室での当時の私の座席は

廊下側の壁際の、後ろから2、3番目の席でした。(曖昧ですみません)

授業が終わって気の抜けた教室の中、私は廊下側の壁に背を向け、

椅子に横向きに座り、ただクラスのみんながはしゃぐ様子を見ていました。

「昨日の○○見た?」だとか

「○○のゲームのボスが倒せない!」だとか

そういった「平穏なざわめき」に耳を傾けるのが、ひそかに好きだったのです。



この日までは。



その休み時間に入ってものの数分といったところでしょうか。

ふいに……

上手く表現できないのですが、ふいに空気が変わったといいますか、

自分だけが空気的にその教室から離脱してしまったというか、

すぐ目の前にいる筈のみんなを、物凄く遠くから見ているような……

画面上に映し出された教室風景を傍から見ているだけのような……

とにかく目前の情景が突如として物凄く『薄っぺら』になってしまったのです。

「(あれ?なんだろうこの感じ……)」

私はその突然訪れた妙な空気感に酔ってしまい、思わず顔を伏せました。

「(寝不足?でも昨日はちゃんと……。目が疲れてるのかなぁ)」

何故か冷静な頭の中、そんなふうに思考を重ねていた僅か数秒。

その間に、またもやなにか空気が変わったような気がして、

私はとっさに「えっ?」っと思って、すぐに顔を上げました。

そして直後、私は言い知れぬ不穏に思わず息を呑みました。

目が合ったのです……。






クラス中のみんなと……。






静寂の中、みんな…みんな…みんな……



1人として例外なく、みんな…みんな…みんな……



さっきまでただ無邪気に、他愛もなく互いに話し合っていた筈なのに、



み〜〜んなこちらを見ているんです。



自分の体から、ゾクッと背筋が凍る音が聴こえました。

私は目も背けられず、彼らの見開かれた目をグルグルと見回しました。

そんな時、誰かがとても小さな声で「あ」っと呟きました。

次の瞬間、背後から僅かな ミシッ という音……

そして間髪入れず


ガッシャーーーーン!


背後斜め上からイヤな破壊音。私に向かって降り注ぐ半透明なカケラたち。

私の周りを、そのカケラたちがスローモーションでかすめて落ちていきました。

そして同時にそれらを通して、みんなが慌てふためき始める瞬間が見えました。


軽症(意外にもほぼ無傷)。

原因は廊下でふざけていた男子。

何のことはありません、たまにあることです。

直前の光景を除けば。

もちろんその時のみんなの異様な雰囲気が気になり、

後から親しい人の何人かに、その時のことを聞きました。

どうしてみんな私を見たのだろう…。

しかもガラスが割れる直前…。

まるで予知していたかのように……。


「知らない」


「え?」


当然私はその返答に納得がいきません。

もっと詳しく尋ねました。

「いや、マジでわからん。気づいたら見てた……」

薄気味悪かったです。みんな口をそろえて、

「知らない」

「気づいたら…」ばかり言うのです。

挙句の果てには、



「でも仕方ないよね」



という会話が始まったのです。



……仕方ない?



「どういうこと?」

私がそう尋ねると、みんな顔を見合わせ、しばらく考えてから、

「何が『どういうこと』なんだ?」というような顔で、口々に言いました。

「え?だって仕方ないじゃん」

「仕方ないよ。ねぇー」

「そうだよねー!仕方なかったんだよ!」

それは少しの同情もないような口調でした。

「天罰みたいなものってこと……?」

私は半分涙目で聞きました。

彼らはまた困ったような口調で答えました。

「いや……○○(私)は悪くないよ。ただなんとなく、○○があそこで、

ああいうふうに怪我するのは仕方ないと思うんだ」

「だよね〜。○○があそこで怪我するのって、普通仕方ないよね」

「元気出しなよ。そうだよ、あの時は仕方なかったんだよ!」

この時の、彼らの顔……。

無償に怖かったのを覚えています……。

大した話でもないのに長くなりましてすみません。以上です。

ただ……

この日を境に、私が生きていくうえでの私自身の在り方が

変わってしまったような気がします。

なにしろ以来、当時の面子に関係なく、どんな人にでさえも、

私に降り注ぐ不運はすべて、後味の悪い曖昧さを残しながら

「仕方ない」で片付けられてしまうのです。


まだ今も…。


……でも仕方ないですよね(笑

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オワラナイ
2007年7月9日/投稿者:鎬

先日、またあのゆめをみた。

否、ゆめ、なのか?

こう、何度も何度も見ていると、単に悪夢の続きだと思えて…

そうだったら、どんなにいいか。


「おねえちゃん、お願いだからこないで。」

「ダメヨ…ねえ、おいで。ネエサンヨ。ねえ?」


妹は押入の中、私はその前であの誰だかわからない男に殺された姉さんを

…本当に殺さなければならない。

だって姉さん、おかしいよ。

どうして、首が折れているのに、そこからは、血が滴り落ちているのに、

「せめて、せめてあたしが…!姉さんを殺してあげる」

「セメテ、わたしが…アナタタチモツレテイッテあげる」


ざわめいている。

家の周りに、縄が張られ、…これじゃ、逃げられない。

「なんでっ…」

あの、見も知らぬ老婆は云う、

「岡部の家は、仕方ないんじゃ。あきらめよ…」

「せめて、この子だけでも!私はいいから!!」

「やだよ、お姉ちゃん、」

妹は、私から離れ様としない。それを無理に引き剥がして、

「だめ。あんただけは、幸せに…」





「おねえちゃあん!!」





あたしの手は――姉さんを殺し直したあの時、もう戻れない道を選んでしまったんだ。

さあ、捜そう。

さあ、殺そう。


姉さんを殺し、私に姉さんを殺させたあの男…


何故か、私は笑った。

狂ったのかも、知れない。

「あははっ、殺してやるよぉ、何処だ…?」

逃げていた相手が、今度は斧を持って追いかける。

動けないように、とばらばらにした姉さんが、

喋った…


「あり、がとう…」


何処にいるの、ほら出ておいで。

もう私には何も無い、この血にまみれた手以外、なにも。なにも。なにも。

だから今度は、






私がコロシテ、アゲル。






私は岡部の家でさまよう。

あの男を捜して…


ゆめならどうか早く醒めて。

もうころすのは、…たくさんよ…。

まだ、みつからない…。

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死の予言
2007年7月7日/投稿者:犀

こんばんは。今日は私が体験した恐いというより

不思議な話をお話したいと思います。

私はペットを飼っていました。

ペットと言うと皆さんは犬や猫を思い浮かべる事が多いと思われますが

私のペットはハムスターでした。

私のハムスターは一ヶ月くらい病気にかかっており、

苦しそうにでも健気に生きておりました。

その時私は“明日も生きてるよ。

きっと。

と思って毎晩眠りについていました。
 
しかしあるとき。

私は毎日書いている日記を

眠さからかボーっとほぼ何も考えていないような形で書いていました。

そしてふと自分が書いた日記を見たときギョッとしました。


私の字とは思えないようなのたくった字で・・・



ペットが死んだ。



・・・とかいてあったのです。

その時点ではペットは苦しそうにしながらも生きていました。

何故こんな事を書いてしまったのか分かりません。

しかし深く考えず、私は急いでその字を消すと眠りにつきました。


朝起きたらお母さんが私に一言・・・・




“死んじゃった”




そう泣きはらした顔で・・・。


無意識に私は(やっぱり)と思い、首を傾げました。

何故私はペットが次の日に死ぬと分かっていたのでしょう?


・・・いや。何故あの字を書いた人は、

私の日記に、私だけがわかるような所に書いたのでしょう?

不思議でなりません。

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あの声は
2007年7月6日/投稿者: 〆鯖

祖父が亡くなったのは、数年前の秋口でした。

外孫で県外に嫁いだ私は、ここ数年全く祖父に会っていませんでしたが、

母の弟(長男)がお嫁さんをもらうまでは頻繁に祖父の許を訪ねており、

いつも優しく遊んでくれる祖父が大好きでした。

葬儀も終わり、火葬された遺骨を墓地に埋葬する為、

親戚一同と祖父の家から少し離れた墓地へやってきた時の事です。


田舎なので埋葬するにも色々手順があるのですね。

その手順が上手くいかなくて、親戚同士で少しもめ始めたんです。

『あーあ、大丈夫かなぁ?』

なんて呑気に見ている私のすぐ後ろで、男の人のボソボソっと喋る声が聞こえました。


「ん?」


と思って振り返ったのですが、後ろには誰もいなく…

山の墓地で民家も無く…

しかも私の後ろは沢だったので聞き違うようなものはなく…


その時は不思議と怖い感じはしませんでした。

何となく祖父の声に似ていた気がします。

後で思い起こすと、こんな風に言っていたような気がします。



『そんな事はオレぁどうでもいいから…』



おおらかで優しかった祖父らしいな、と思いました。

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気付いてよ
2007年2月11日/投稿者:晴れ女

絶対怖くないと思いますが、掲載させていただきます。

ある日のこと、私はいつものように一階にある電子ピアノを弾いていました。

弾いていた曲は、「エリーゼのために」。

ピアノを弾く時必ず一番最初に弾く曲で、お気に入りでした。

丁度その曲の中間に入って来た頃。

トントン……

どこかから音が聞こえました。

祖母が伯父の部屋へ入るためにノックをしたのだろうと思いました。

けれど、祖母の声は全く聞こえてきません。

気配すら感じられませんでした。

尚も引き続けると、また


トントン……


私は怖くなり、ピアノを中断しました。

祖母が伯父の部屋のドアをノックしたのでなければ、

他からそのような音が聞こえるはずはありません。

また、その音は床下から聞こえて来ました。

ペダルを踏む足に、確かに振動が感じられたからです。

おそるおそる足で床を叩きました。


すると……


トントン……


答えるように、床下から音が響いて来たのです。

私は怖くなり、母の元へ逃げるように走りました。

その間も、トントンという音は響き続けていました。

あの音は、いつの日にかここで死んだ人が、

私たちに気付いて欲しいというサインを送っていたのでしょうか……。

これで、終わりです。

全然怖くなかったと思いますが、お付き合い下さり有り難うございました。

でも、実際に体験した私が非常に怖い思いをしたことは、言うまでもありません。

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連れて来ちゃったかもね
2007年1月19日/投稿者:kiki

これは、私が四年生の時の話です。

私の母は、少し霊感があるらしく、

仕事場でもよく「見えてしまう」らしいのでした。

風邪でもないのに、母は咳が止まりませんでした。

私はその日、どうしても寝ることができませんでした。

なんだかとても苦しいのです。

すると、いきなり


ボソボソボソボソボソ…


という音が、耳元で聞こえました、

最初は猫のいびきかな?と思ったのですが

寝室の扉がしまっていたので、別の部屋にいるはずでした。

その音がどうにも気になって、眠れません。

耳をふさいでも聞こえるのです…

私は怖くなって布団をかぶりました。

その時です、

母は咳がひどくて寝れないらしく、電気を点けて起きました。

私は布団から起き上がると

もう、「ボソボソ」という音は聞こえなくなりました。

部屋中を睨み、「私は何もできません!」

(あっちいけ、だと余計集まってくるらしい)と言うと、

部屋の空気が軽くなって、やっと安心できました。

母は薬をのんで「直ぐ」咳がおさまったのです。

私も直ぐ寝付けました。

後日そのことを母に話すと、

「あぁ、もしかして、お母さん連れて来ちゃったかもね」

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2007年1月17日/投稿者:沖田鎬

実は今、知り合いの部屋に居候している。

3人で住んでいるのだが、その日は私ひとりだった。

眠気に襲われて、二段ベッドではなく、下の布団で寝ようとした。

「ん〜冷たくてキモチイイv」

布団の枕元には、隣の部屋へ続く戸がある。

まだ夕方だったので、明るくてそれを閉めた。

「よっしぃ。寝るかー」

どさっと横になると、

「おやすみなさい」

と聞こえた。

眠りに閉ざされる頭で、ああ、なんだあいつ帰ってきたのか…と思った。


ばたばたがたん。

「ただいまー!」

「おじゃましまーす」


んん…?


戸の向こうでがたがたと音がする。

「あれー?まだ寝てる」


――はい?


私は慌てて戸を開けた。

「お前、オレにおやすみつーたじゃん!…おやすみなさいって云われちゃったよ、畜生!」

帰ってきた彼女も、友達も、ぽかんとしている。

彼らは、今、そう今、帰ってきたのだ。

「あああああ〜!オレ、誰におやすみなさいって云われたんだ?!」

「えええ〜!何かいるのか〜?!」

確かに、女の声だった。

おやすみなさい、と云った。

しかし、その時誰もいなかった。

…オレ以外、誰も。

一体、誰が、オレに眠りの言葉をかけてくれたのだろう?

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