GHOST TAIL

JuJu:怖い話と百物語

百物語

迷い子
2000年/投稿者: (No name)

12年前の夏

男女10名程度のグループでメンバーの会社の保養所(白樺湖付近)へ

一泊のテニス旅行に行きました。

当時は学生から社会人へ移る就職活動時期だったと思います。

今回の旅行は早くに就職先が決まったメンバーの会社が保有する保養所なので

私達が保養所と言われる施設を利用するのはそれが初めてだったのです。

その為か、どこかぎこちなくアバウトな旅行だった気がします。


私達は保養所までの簡単なパンフレット(地図)を頼りに

とある街道を現地に向かって車を走らせていました。

街道から山道に入る目印といえばXXX別荘地という看板だけでしたが

すぐにその看板を確認することが出ました。

そこから山道に入り30分ほど走っているのですが、なかなか現地に到着せず

地図上ではもう到着しているはずなのです。

更に、10分程度走った所に二階+屋根裏部屋(洋風)の建物が現れました。

私達は疲れていたのか、やっと着いたと言う気持ちで

車を建物前の空き地へ停めて一斉に建物の中になだれ込みました。



その時に気がついたのですが私と友人が車から出て建物を見上げたときに

屋根裏部屋の窓から何か白いものが揺れたように見えたのです。

その時は多分、カーテンか何かだろうと気にもとめませんでした。



中に入って驚いたのが、埃だらけで全く生活感が感じられないのです。

電気やガスは通じており水は地下水を利用していました。

私達は保養所を利用するのは初めてなので ずいぶんと汚い保養所だなあと思い

手分けして掃除をすることにしました。



2階の廊下を掃除していて突き当たりに小さな扉があるんです。

すぐに屋根裏部屋への階段だと気がつきました。

扉をあけると案の定、屋根裏部屋へと急な角度で伸びる階段がありました。

階段を上り天井の扉を押し上げ、顔を出して部屋を確認したところ

ただの屋根裏部屋で利用することも無いと思い、すぐに下に下りました。

しかし、気になったのが部屋の中が凄まじく寒かったのです。

それと窓にはカーテンは無かったのです。



下におりたらもうすでに掃除が終わってテニスをする準備をしていました。

私達は道の向こう側に有るテニスコートへ我先にと向かったのですが

着いてびっくり整備がされておらずおまけにネットが所々破れているのです。

しょうがないので、ネットの弛みをとってPLAYしたのを覚えています。

又、やたらと虻などの吸血昆虫が多かったことも・・・








数時間してお腹がすいたので宿に戻ったところ

18:00近くになっていたので食事をとることにしました。

食事と言ってもカップラーメン等の簡単なもので

すぐに終えてしまい後は自由行動と言う事になりました。







マージャン組、風呂に入る者、それと私を含めた肝試し組、という班に分かれ

私達は更に山道を上っていきました。

辺りが暗くなり始めたので足を止めてみんなで輪になって怪談話をはじめました。

3話目くらいで女の子の悲鳴がそれまでの物でないことに気付きました。

物凄い形相で森の中のある一点を指差しているのです。

その方向を見ると白樺林が広がっているのですが私には何があるのかわかりませんでした。







時間がたって目が慣れた時・・





”それ”を確認できました。





周りの者達も確認できたのでしょう徐々に悲鳴らしきものが上がってきました。

”それ”はここから20〜30m離れた一本の白樺の木の裏にいて出たり隠れたりしているのです。

更に私達の悲鳴が高くなったとき、”それ”は近くに来ていました。

10m先の木の裏でさっきと同じ様にこっちを向いて出たり隠れたりしているんです。

確認できたのがそれは人間で色の白い男の子(小学5、6年生くらい)で

笑ったり真顔になったりしてこっちを見ているんです。

明かに人間の子供なのですが、どこか変なんです。







気味が悪いので、宿に帰ろうとした時にその子が近ずいてきました。

私達は宿に向かい走りましたがメンバーの女の子が一人動けずに残っているのがみえたので

私は戻りその子の手を持って宿に向かって再び走り出したのです。

ところが、握っているその子の手が冷たすぎるのです。

しかも、握力が物凄くてあまりの痛さに振り向いたんです。

一瞬、気が遠くなるのが分かりました。

握っている相手は女の子ではなくて、さっきの”それ”なのです。

男の子は真顔で私を見上げていましたが




いきなり笑って黄色い歯を見せ、またすぐに真顔になったり を繰り返してるんです。




その時になってようやく気付きました。











”それ”が人間でないことを。











眼が真っ黒なんです、白い部分が無く、真っ黒なんです。

私は手を振り解き一目散に宿に入りました。

既に他のメンバーは帰ってきていて、中には泣いている者もいて

雰囲気は暗くマージャン組の者たちは何があったのか分からずにきょとんとしてました。

暫らくすると風呂場からメンバーの一人が怒りながらやってくるのです

普段は温厚な性格なのですがその時は物凄かったのを覚えてます。

聞いてみると、風呂場の窓を外から手でたたいていると言うのです。

しかも執拗に。

私達はそれが、先ほどの子供だと言う事がすぐにわかりました。

すかさず、全ての扉のカギをしめ、先ほどの事情を他のメンバーに説明し

2階の部屋に皆を集めてこれから直ぐにこの宿を出て行くかを相談しました。

男連中は直ぐにでも出ようとしたのですが女の子は外には絶対に出ないという意見を曲げません。

仕方なく明朝を待つことにして今夜はこの部屋に皆で寝ることにしたんです。

さすがに皆眠れずにどうでも良い話を無理にしているんです。







そんな時、沈黙はまた崩れました。

屈強な男が悲鳴を上げて指をある方向にさしているんです。

これには皆びびりました。

”それ”が部屋の角で、しかも壁側を向いて体育すわりをしているんです。

皆、声も出ずに3分ぐらい経ったとき(多分もっと短かったんだろうが)

”それ”
は立ちあがっって、襖のすきまからスーと消えていきました。

私たちは今見たものが信じられず、震えながら朝になるのを待ちました。







5時くらいになってようやく外が明るくなってきたので車に乗り込み山を下りました。

来た時の街道にぶつかり来た方向えと車を走らせていた時

メンバーの一人が急に車を止めろと叫んだのです。







そこには、XXX別荘地という真新しい看板が立ってました。

運転手は何も言わずにその看板が指す方向へと ハンドルを切り山道を進んでいきました。

暫らくすると建物が見えてきて更に、メンバーの勤める社名が書かれた門があり

その奥には2階建ての真新しい宿が立ってたんです。








そうなんです、私達が本来泊まるべき宿が


今目の前にしている宿だったんです。


後で、そこの管理人さんと話したところ昨日はいつまでたっても私達が来ないので

てっきりドタキャンをされたのかと思っていたそうです。

ちなみに、間違えて泊まった建物は 以前、ある家族が購入した別荘で

4年前にその家族が旅行に来ていて夕方に

当時8歳と5歳の男の子と女の子がかくれんぼをして遊んでいたそうです。

女の子はすぐに帰ってきたのですが、8歳の男の子の方は

夜になっても帰ってこなかったようです。

心配になった両親はすぐに捜索願を出して近辺をくまなく探したのですが

結局見つからなかったと言う事です。

その後、度々、両親はそこの別荘へ来ては自分達で探しているそうです。








私達は、昨夜の出来事を管理人さんに話したところ

管理人さんはすかさずその両親に連絡をとったみたいです。

その後、両親がやってきて探していたらしいのですが結局何も見つからなかったそうです。







今思えば、私達が遭遇した子供は、4年前に行方不明になった男の子で

今でもかくれんぼの続きをしているんでしょうか。

私が見た子供の年はちょうど12歳(5、6年生) くらいだったので

つじつまが合うのですが・・