GHOST TAIL

JuJu:怖い話と百物語

百物語

ある団地
2000年/投稿者: (zen)

これは私が大学時代に友人から聞いたお話です。

彼は都内にすむ学生なのですが、彼のすむマンションからは

かの有名な自殺の名所「●●●団地」が見えるのです。

ある日彼はふとした事から恐ろしい体験をしてしまう事になりました・・

その日彼はバイトの飲み会で夜中遅くに自宅に帰ってきました。

彼はかなり飲み過ぎていた様で

ベランダに出て途中で買ってきた烏龍茶を飲みながら外の風にあたっていました。

そんないつも見慣れた景色を眺めていたのですが・・

ふと、●●●団地の1棟に目をやりました。

電気が消えている部屋や ガラスを通して見える明かりなどがまばらに散っています。

ずーっと見回しているとその中の1つに目が止まりました。

別にこれといって理由はありませんでしたけど 何故か彼はその部屋を見ていました。

その部屋は電気がついていてカーテンは閉めてませんでした。

そしてちょくちょくとガラスごしに人が動いているのが見えました。

「こんな時間に起きてる人も結構いるんだなぁ・・」

そんな事を思いながらしばらく見つめていると・・




突然そのガラスが真っ赤に染まったのです!




びっくりした彼は目をこすりながら もう一度その部屋をよく見てみました。

すると・・


ガラスの向こうのその人は






自分の胸に包丁の様な刃物をザクザクと刺しているのです!


何度も何度も・・・


その度に部屋の窓やうっすらと見える床などに血しぶきが飛んでいきます。







彼の全身に寒気が走ります・・

にも関わらずそこから目が離せません。

慌てて彼は警察に電話をしようと部屋の中に戻り電話を手にしました。

しかしもう一度ベランダに出て、さっきの窓を見ますと・・

今度は電気が消えていたそうなのです・・

その日は結構お酒が入っていたので 「幻覚・・か・・?」 一瞬そう思ったのですが・・

彼いわく確かに見たそうなのです・・

こんなはっきりと覚えているのですから とても幻覚とは思いがたいです・・

しかしそんな中途半端な証拠で警察に来てもらってもし何もなかったら迷惑です。

彼は自分でその場所に行って確かめてみる事にしました。

当時彼はその団地が自殺の名所だとは知らなかったので

その場所に行くまではたいして怖くはなかったそうなのですが・・

彼は走る様にして団地の階段を駆け上りすぐにその階に着きました・・

するとやはりその部屋の電気は消えていました・・

更にその部屋に近づいて血のついた窓を探します・・

何処にも血なんかありません。





「おかしいな・・・」





そう思いながら 彼はその場の空気がとても重苦しい事に気がつき

なんだか怖くなりました。





「何もないよな・・・」





彼が引き返そうと、部屋に背を向けたその瞬間!!






「バタン!」






とその部屋のドアが勢いよく開いたのだそうです。

「うわぁ!・・?!」

驚いて振り向きドアを見ました。

すると今度はさっきよりも勢いよく・・





「バタンッ!!バタンッ!!バタン!!バタンッ!!」






と、誰もいない部屋のドアが自動で開閉していたのです!

決して中に人がいる様にも思えないその部屋の扉が

ものすごい勢いで開閉しているのです!

彼は怖くなってその場を逃げ出したそうです・・

後にその部屋にはやはり誰も住んでいない事が分かりましたが

その部屋で過去に一体何があったのかまでは分かりません・・

ただ、大勢の人達がその団地で亡くなっている・・

それだけは確かです・・

●●●団地・・

私も友人と心霊スポット巡りで 現地へ実際に行ってみたのですが

初めて見たときは本当ゾッとしました・・

全ての階の廊下には異常な程の鉄格子が設置されているんです・・

あれはこの団地で飛び降り自殺する人達があまりにも多い為につけられたとか・・

心霊スポット巡りも程々にしないと危険ですね・・