守り
投稿者/深緋 業


これは私が友達から聞いた話です。あまり怖くないかも知れませんが・・・或る所に、病弱な娘とその母親がいました。父親はすでに亡くなっていて、母親は女手1つで娘を育てなくてはらなく母親は毎日働きに出て、それこそ倒れるまで仕事をして娘の看病に当たりました。その甲斐あってか、娘は段々良くなっていき外に働きに出ることも 遊びに行くことも出来る様になりました。しかし、不運な事に今まで頑張ってきた母親が倒れてしまったのです。病院に連れて行っても良くなる兆しはなく、娘は日に日に弱っていく母親を黙って見ているほか無かったのです。 暫くして、とうとう母親にも最期の日が来てしまいました。それを悟ったのか、母親は娘にお守りを作り始めたのです。震える手で 一生懸命に針を運び、出来上がると娘を部屋に呼んで手渡しました。「これを私だと思って肌身離さずずっと持っていておくれ。でも、決して中身を覗いたり、水にぬらしてはいけないよ。分かったね?」 そう言って何度も念を押して息を引き取ったそうです。 過労死でした。そして数年後・・・・ その娘は友達と海水浴に出掛けました。もちろん 母親がくれたあのお守りも持っています。 泳ぎに行こうとして、自分が あのお守りをもらったときに母親に言われたことを思い出しました。「水にぬらしてはいけない」 娘はそのお守りを置いていくつもりでしたが どうしても中身を覗いてみたく なったのです。 水にぬらしてはいけない物。考えても見当がつかなかったのです。そしてとうとう縫い合わせてあった袋を強引に破りました。その中には折りたたんだ小さな紙が入っていました。何となくその紙を広げ、娘はそれを見た1年後に死んだと言われています。その紙に書いてあった事は 「早く死ね」 よっぽど娘を恨んでいたのでしょうか?看病のために自分が死んでしまった。「水にぬらしてはいけない」と言うのは 水で滲んだインクが外に漏れてばれない様にするためだったのでしょうね。

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